筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

まずはBIG3+ラットプルダウン+レッグレイズを習得しよう

「これからトレーニングを始めよう」としている方には、競技力向上・ボディメイクどちらの目的であれど、

・スクワット
・デッドリフト(ルーマニアンデッドリフト)
・ベンチプレス
・ラットプルダウン
・レッグレイズ

まずは、以上の5種目を習得していただくよう指導しています。

今回の記事は、なぜそのような指導をするのか理由を書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと「安全性を確保し、効果的かつ効率的に全身の筋群を満遍なく強化することができる」からです。

トレーニングでは全身の筋群を満遍なく強化することが原則

競技力向上を目的とする場合

バレーボールを例に出しますが、質の高いスパイクを打つには「腕の振り力」といった上肢の身体能力だけでなく「跳躍力」といった下肢の身体能力も必要になります。

いくら腕の振り力があったとしても(上肢の身体能力があったとしても)、最高到達点が低ければコースは限られますし、いくら跳躍力があったとしても(下肢の身体能力があったとしても)、威力がなければ決定打とはなり得ません。

「質の高いスパイク」は、もう少し大きな枠で捉えると「競技力」は、このように「身体能力の総合値」に決定されます(それ以外の要因もありますが)。

そのため、競技力向上を目的とする場合のトレーニングでは、全身の筋群を満遍なく強化することが原則となっているわけです。

もっとも、アームレスリングのような体重別階級のある特殊な競技では「全身の筋群を満遍なく」ではなく「上半身の筋群を集中的に」強化するべきでしょう。

しかし、先ほど挙げたバレーボールをはじめ、ラグビー・テニス・総合格闘技…など大多数の競技においてこの原則は当てはまります。

また、競技力向上を目的とする場合のトレーニングにおいて、全身の筋群を満遍なく強化することを原則としている理由には「傷害発生のリスクを下げる」という目的もあります。

「筋力のアンバランスは、様々な悪影響をもたらす要因になる」と考察できるデータが存在するためです。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、例えばハムストリングスの肉離れの原因には「大腿四頭筋とハムストリングスの筋力差」が挙げられています。

ボディメイクを目的とする場合

何をもって「かっこいい身体」「美しい身体」とするかは人それぞれで違ってくるでしょうが、少なくとも一般的には「全身の筋群が満遍なく発達していること」が、かっこいい・美しい身体、という印象があります。

「上肢だけ」や「下肢だけ」など、特定部位のみの筋群が発達していると、その部位の凄さはもちろんですが、それ以外の部位が悪い意味で逆に目立つちます。

そのため、ボディメイクを目的とする場合のトレーニングでは、全身の筋群を満遍なく強化することが原則となっているわけです。

トレーニングには様々な種目が存在する

主に下肢を強化する種目
・スクワット
・デッドリフト
・ランジ
・ヒップスラスト
・カーフレイズ
・レッグプレス
・レッグエクステンション
・レッグカール
・アダクション
・アブダクション
主に胸を強化する種目
・ベンチプレス
・ダンベルプレス
・ディップス
・ダンベルフライ
・プルオーバー
・チェストプレス
・バタフライ
主に背中を強化する種目
・懸垂
・ベントオーバーロウ
・ワンハンドロウ
・シュラッグ
・ラットプルダウン
・シーテッドロウ
主に肩を強化する種目
・ショルダープレス
・アップライトロウ
・フロントレイズ
・サイドレイズ
・リアレイズ
主に腕を強化する種目
・アームカール
・ハンマーカール
・トライセプスエクステンション
・フレンチプレス
・リストカール
・リバースリストカール
主に腹部を強化する種目
・シットアップ
・レッグレイズ
・ツイストシットアップ

このように、トレーニングには様々な種目が存在します。パッと思いついたものだけで、37種類です。これに、インクラインベンチプレスやショルダーバックプレスなど、バリエーションも含めると、100種類は優に超すことでしょう。

そして、これら様々な種目における「効果の程度」や「傷害発生リスクの高さ」などをリサーチし、全身の筋群を満遍なく強化することができるよう選択したものが、

・スクワット
・デッドリフト(ルーマニアンデッドリフト)
・ベンチプレス
・ラットプルダウン
・レッグレイズ

以上の5種目というわけです。

単関節種目ではなく多関節種目を取り入れる

(単関節種目vs多関節種目 筋力向上・筋肥大に効果的なのはどっち?)や(「筋トレ未経験者・初心者には単関節種目を推奨する」には賛成できない)で記載しましたが「多関節種目の方が筋力の向上に効果的」というデータが存在します。

また、動かす関節数の関係から、多関節種目の方がより多くの筋群を強化することが可能です。つまり、時間効率に優れています。

このような理由から、アームカールなどの単関節種目は除外しました。

マシントレーニングではなくフリーウエイトを取り入れる

(フリーウエイトvsマシントレーニング 効果的なのはどっち?)や(アスリートはフリーウエイトを中心にトレーニングを行うべき)で記載しましたが「フリーウエイトの方が筋力の向上・筋肥大に効果的」と考察できるデータや「フリーウエイトの方がジャンプ力・疾走能力・方向転換能力の向上に効果的」というデータが存在します。

また(フリーウエイトvsマシントレーニング 安全性について)で記載しましたが「セーフティーバーを設置する」といった行為で、フリーウエイトでも安全性を確保することは十分に可能です。

このような理由から、レッグプレスなどのマシントレーニングは除外しました。

種目における傷害発生リスクの高さを調べる

(オススメ筋トレ種目レッグレイズの効果・やり方・呼吸を解説)や(肩に負担をかける(肩を痛めやすい)筋トレ種目 肩が痛い時の対処法)で記載しましたが、傷害発生リスクの高さは種目によって変わります。つまり「怪我のしやすさ」は種目によって異なります。

その種目が、いくら筋力の向上や筋肥大に、さらにはジャンプ力・疾走能力・方向転換能力の向上に効果的であったとしても、傷害を負ってしまっては元も子もありません。

このような理由から、シットアップなどの傷害発生リスクの高さに不安のある種目は除外しました。

種目における筋活動を調べる

例えばですが、

1.スクワット(大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリング)
2.ベンチプレス(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋)
3.チェストプレス(大胸筋・三角筋・上腕三頭筋)

以上の3種目をメニューとして取り入れた場合、大腿四頭筋はスクワットの1種目からしか強化されないのに対し、大胸筋はベンチプレスとチェストプレスの2種目から強化されます。

また、広背筋や大円筋・僧帽筋といった背中の筋群は、ほぼほぼ強化されません(全くとは言いません)。

この3種目のメニューでは、強化される部位とされない部位に「偏り」が生じます。つまるところ、全身の筋群を満遍なく強化することができません。

それを回避するために、種目における筋活動を調べた結果、

・スクワット
・ルーマニアンデッドリフト
・ベンチプレス
懸垂
・レッグレイズ

以上の5種目であれば、全身の筋群を満遍なく強化することができる、との結論に達しました。

・スクワット:大腿四頭筋を中心とした下肢の筋群
・ルーマニアンデッドリフト:ハムストリングス・大臀筋・脊柱起立筋など後面の筋群
・ベンチプレス:大胸筋・三角筋・上腕三頭筋など上肢の筋群
・懸垂:広背筋を中心とした背部の筋群・上腕二頭筋・前腕など上肢の筋群
・レッグレイズ:腹直筋・外腹斜筋など腹部の筋群

しかし、懸垂は自重を扱っていくため、トレーニング未経験者や初心者・高体重の方では「回数をこなせない」という難点があります。

そのため「マシントレーニングではなくフリーウエイトを取り入れる」というルールに特例を設け、ラットプルダウンに変更した次第です。

まとめ

繰り返しになりますが「これからトレーニングを始めよう」としている方には、競技力向上・ボディメイクどちらの目的であれど、

まずは以上の5種目を習得していただくよう指導しています。なぜなら「安全性を確保し、効果的かつ効率的に全身の筋群を満遍なく強化することができる」からです。

もっとも「この5種目を絶対に」というわけではありません。状況によっては、スクワット→レッグプレス、ベンチプレス→チェストプレスとする場合もあります。

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