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筋トレにおけるタンパク質の重要性と1日あたりの摂取量

  • 2017年11月7日
  • 2020年2月9日
  • 栄養

トレーニングの指導をしていると、高確率で「タンパク質」に関する質問を受けます。具体的には、

・そもそもタンパク質とは何なのか?
・どれほどタンパク質を摂取すれば良いのか?

などです。

今回の記事は、これらの質問に答えていきたいと思いますが、最初に結論から申しますと、

そもそもタンパク質とは何なのか?→
私たちの身体を作っている材料三大栄養素の1つです
どれほどタンパク質を摂取すれば良いのか?→
2g/体重/日(1日あたり体重×2g)摂取を心がけてください

となっています。

そもそもタンパク質とは何なのか?

私たちの身体には、例えば大胸筋や大臀筋・上腕二頭筋といった筋肉のほか、臓器や腱・皮膚など様々な身体組織がありますが、これらは主にタンパク質で構成されています。つまり、タンパク質は私たちの身体を作っている「材料」です

また、タンパク質はホルモン・酵素・抗体などの体調節機能成分ともなっているため、炭水化物・脂質と並び最も重要な栄養素と位置付けられています。これが、いわゆる「三大栄養素」です。

タンパク質の食事摂取基準

厚生労働省では、国民の健康の保持・増進を図る上で、摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準(日本人の食事摂取基準)という報告書を公表しているのですが、この報告書の中には「タンパク質の食事摂取基準」が掲載されています。

つまり「1日あたり、これくらいのタンパク質を摂取するべきである」という表が掲載されています。

例えば、35歳の男性では推定平均必要量が50g・推奨量は60g、42歳の女性では推定平均必要量が40g・推奨量は50gとのことです。

もっとも、この表には体重の記載はありませんが(報告書の全文 各論 タンパク質)には計算式が記載されており、成人においては、

推定平均必要量(g)=体重×0.72
推奨量(g)=推定平均必要量(g)×1.25

となっています。

そのため、

推奨量(g)=体重×1

と思って大きな問題はないでしょう。

なお、高齢者においては加齢による消化・吸収率の低下などから、

推定平均必要量(g)=体重×0.85
推奨量(g)=推定平均必要量(g)×1.25

と、少し多めに設定されています。

食品におけるタンパク質の含有量

私たちは、食事をすることでタンパク質を摂取しているわけですが、食品におけるタンパク質の含有量には大きなばらつきがあります。

下の表は(文部科学省 日本食品標準成分表)より抜粋した、食品100gにおけるタンパク質の含有量を記載したものです。

食品 タンパク質含有量
牛肩ロース赤肉 16.5
豚肩ロース赤肉 19.7
鶏ささみ 24.6
生しらす 15.0
うなぎ蒲焼 23.0
ほたて貝柱 17.7
木綿豆腐 6.6
引き割り納豆 16.6
鶏卵 12.3
ちんげん菜 0.6
トマト 0.7
バナナ 1.1
カステラ 6.2
くずもち 0.1

ごく一部しか抜粋していませんが、野菜類や果実類・菓子類に比べ、肉類・魚介類は多量のタンパク質を含有しているのがわかります。例えば、菓子類のくずもちは100gあたり0.1gですが、肉類の牛肩ロース赤肉では100gあたり16.5gと「165倍」です。

もっとも、日常では「食品そのまま」ではなく「生姜焼き」や「煮込みハンバーグ」のように調理された、いわゆる「料理」を食べられるかと思います。

こちらの(カロリーSlism)では、タンパク質をはじめ様々な料理の栄養素を調べることができるのですが、具体的な献立としては、

(朝)おにぎり、納豆、卵スープ、みかん
(昼)ご飯、シャケの塩焼き、白菜のお浸し、きゅうりとワカメの酢の物、豚汁
(おやつ)カフェオレ
(夕)ご飯、肉じゃが、ワカメの味噌汁、リンゴ(半分)

これで、トータル61.26gのタンパク質を摂取することが可能です。つまり、成人の推奨量をクリアすることができます。

筋肉は常に合成と分解を繰り返している

筋肉は、合成される一方で常に分解されています。基本的に、合成と分解これら2つの作用は均衡が取れています。筋肉量がある程度一定に保たれているのは、こういった背景があるからです。

そのため、今よりも筋肉量を増やす、つまり筋肥大や筋力の向上を起こそうとした場合は、合成を分解よりも上回らせる必要があります。

そして、これを達成するための要素が「筋肉に刺激を与えるトレーニング」と「筋肉の材料となるタンパク質の十分な摂取」です。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・20代前半の男性が対象。
・2つのグループに分ける。
・1つはタンパク質を摂取するグループ。
・1つは炭水化物を摂取するグループ。
・摂取するタイミングはトレーニング前や後など。
・トレーニング種目はレッグプレスやレッグカールなど。
・週3回14週間週間継続。

という実験が行われました。その結果は以下の通りです。

TypeⅠ(遅筋)線維断面積
・タンパク質グループ:18±5%増加
・炭水化物グループ:変化なし
TypeⅡ(速筋)線維断面積
・タンパク質グループ:26±5%増加
・炭水化物グループ:変化なし
垂直跳び
・タンパク質グループ:9±2%増加
・炭水化物グループ:変化なし

このように、タンパク質を摂取したグループは、様々な項目で有益な変化を起こしております。

どれほどタンパク質を摂取すれば良いのか?

先ほど「推奨量(g)=体重×1」と記載しましたが、これはあくまでも「国民の健康の保持・増進」を目的とした場合の数値です。言い換えるならば、ごくごく一般的な生活を送る人における数値です。

では一体、トレーニングを行っている人は、どれほどタンパク質を摂取すれば良いのかと申しますと、これは文献により多少差があります。

例えば、国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition)が公表した「protein and exercise」では「1.4〜2g/体重/日」と記載されています(International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise)。

一方、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)が公表した「Nutrition and Athletic Performance」では「1.2〜2g/体重/日」です(American College of Sports Medicine: Nutrition and Athletic Performance)。

もっとも、数値には範囲が設けられていますが、これは年齢やトレーニング経験・頻度・強度などが関係してくるからでしょう。

また、日本には食や健康・スポーツに関わる様々な企業がありますが、例えば株式会社ドームの(DNS)では「2~3g/体重/日」株式会社健康体力研究所の(Kentai)では「2g程度/体重/日」となっています。

このような情報があるため「どれほどタンパク質を摂取すれば良いのか?」と質問された場合は「2g/体重/日(1日あたり体重×2g)摂取を心がけてください」と指導しているわけです。

しかしながら「1.6g/体重/日以上の摂取は、除脂肪体重の増加にそれ以上貢献しない」と記載されている文献もあります(A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults.)。

そのため「2g/体重/日以上摂取しなければ意味がない」ではなく「2g/体重/日を摂取すればまず問題ないだろう」という考えを持っておいた方が良いでしょう。

まとめ

そもそもタンパク質とは何なのか?→
・私たちの身体を作っている「材料」で「三大栄養素」の1つ。
どれほどタンパク質を摂取すれば良いのか?→
・2g/体重/日(1日あたり体重×2g)の摂取を心がける。

併せて読みたい記事

・1 筋トレにおけるタンパク質の重要性と1日あたりの摂取量

・2 筋トレにおけるタンパク質の摂取頻度・回数・タイミング・1回摂取量

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・4 ホエイ・カゼイン・ソイプロテインの効果の違いと摂取タイミング

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・6 タンパク質の多量摂取は人体に悪影響を及ぼすのか

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