ユニラテラル・エクササイズ(片側性エクササイズ)の取り入れ方

 

トレーニング種目は、左右で動作が違うユニラテラル・エクササイズ(片側性エクササイズ)と、左右で動作が同じバイラテラル・エクササイズ(両側性エクササイズ)に分類することができます。

ユニラテラル・エクササイズ:片脚スクワットや(リバースランジ)など
バイラテラル・エクササイズ:(スクワット)や(デッドリフト)など

今回の記事は、ユニラテラル・エクササイズの取り入れ方について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、

・3種目め以降に取り入れる(1〜2種目めには行わない)。
・3種目以上は取り入れない(1〜2種目以内に抑える)。

となっています。

なお、今回の記事はアスリート向けの内容です。

筋力には左右差がある

「握力を測定したら、右手は50kgだったけど左手は40kgもなかった」のような経験を持っている方は多いのではないでしょうか?私自身も身に覚えがありますし、詳しくは(こちらの日本語文献)を見ていただきたいのですがそのようなデータも存在します。

筋力にはこのように左右差が見られるわけですが、何も握力に限ってのことではありません。下肢の筋力にも左右差は確認されています(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

 

筋力に左右差があることは「良い」こと?「悪い」こと?

筋力の左右差をどのように捉えるかは、その競技やトレーナーによって大きく変わってくると思うのですが、少なくとも私は「筋力に左右差はあって当然。しかし、それを縮めるに越したことはない」という考えの持ち主です。

筋力に左右差はあって当然

人間には利き手や利き足が存在します。また、ほとんどの競技は左右で違う動作を行います(野球のピッチング・サッカーのシュート・バレーのアタック・卓球のスマッシュなど)。

そのため、そもそも「筋力に左右差がない」という状態が特別であり「筋力に左右差がある」という状態が当然という考えを持っているわけです。

しかし、それを縮めるに越したことはない

例えば、ハムストリングスはしばしば肉離れを発生させる個所として知られており「傷害歴」や「柔軟性の低下」などが代表的な発生要因とされているのですが、そのほかの発生要因としては筋力の左右差が挙げられています(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

そのため、傷害発生のリスクを下げるという点から「筋力の左右差を縮めるに越したことはない」という考えを持っているわけです。

また、詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、筋力の左右差を縮めることによって、スプリント速度が向上したというデータも存在します。

 

筋力の左右差をどう縮めるか

筋力の左右差を縮める(筋力の左右差を整える)手段としては、ユニラテラル・エクササイズを取り入れることをオススメしています

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・被験者をグループ分けする。
・1つはユニラテラル・エクササイズを行うグループ(片脚ずつトレーニングを行う)。
・1つはバイラテラル・エクササイズを行うグループ(両脚同時にトレーニングを行う)。
・1つは何もしないコントロールグループ。
・トレーニング種目はレッグエクステンション。
・トレーニング内容は12〜15RMを2セット→9〜12RMを3セットといったように変化する。
・週2回12週間継続。

という実験を行なった結果「ユニラテラル・エクササイズを行なったグループの方が、バイラテラル・エクササイズを行なったグループよりも片側性筋力の向上が大きかった」というデータが得られているからです。

そのため、あくまでも一例ですが「左脚が弱く右脚が強い」という方がいた場合、

1セット目
①片脚スクワット(左脚):8kgで10レップ
②片脚スクワット(右脚):10kgで10レップ

2セット目
①片脚スクワット(左脚):8kgで10レップ
②片脚スクワット(右脚):10kgで10レップ

3セット目
①片脚スクワット(左脚):8kgで10レップ

のようなトレーニングメニューが「筋力の左右差を整えるのに効果的である」と考察することができます。弱い左脚に対して、強い右脚よりも相対的に大きな刺激が加わるためです。

 

ユニラテラル・エクササイズのメリット&デメリット

ユニラテラル・エクササイズは、バイラテラル・エクササイズよりも「片側性筋力を向上させる」「筋力の左右差を整える」というメリットが存在します。

そのため、競技力向上においては「片脚での跳躍」や「片腕での投球」など、ユニラテラル的な動作が要求されるスポーツで有効となるでしょう。

しかし一方で、ユニラテラル・エクササイズにはデメリットも存在します。

腰を痛めやすい

種目によっても変わってはくるのですが、例えば片脚スクワット、片腕ショルダープレスなどのユニラテラル・エクササイズでは、バランスを取るため上体を左右どちらかに傾ける必要が出てきます。つまり、脊柱を横に曲げる必要が出てきます。

トレーニングでしっかりとした負荷をかけていく場合、確かに片脚スクワットと両脚スクワット、片腕ショルダープレスと両腕ショルダープレスでは、両脚スクワットと両腕ショルダープレスの方が高重量を扱うことになります。つまり、バイラテラル・エクササイズの方が高重量を扱うことになります。

そのため「バイラテラル・エクササイズの方が、腰を痛めやすいのではないか?」と考えることができるかもしれません。

しかし、片脚スクワットや片腕ショルダープレスなどのユニラテラル・エクササイズにおいては、先に説明した通り脊柱を横に曲げる必要が出てくるため、脊柱に左右不均一の負荷がかかることになります。

そのため「ユニラテラル・エクササイズの方が扱う重量が軽かったとしても、結果として腰を痛めやすいのではないか?」と考察しております。事実、そのような経験もあります。

 

ユニラテラル・エクササイズの取り入れ方

ユニラテラル・エクササイズのメリットとデメリットを吟味し、以下のような指導をしています。

ユニラテラル・エクササイズは取り入れるべき

まず「ユニラテラル・エクササイズを一切取り入れない」ということはしません。仮に、筋力の左右差がなかろうと、バイラテラル・エクササイズよりも「片側性筋力を向上させる」というメリットがあるからです。

3種目め以降に取り入れる(1〜2種目めには行わない)

ウォーミングアップは別に、1〜2種目めには行わないようにしています。

1〜2種目めに行うということは、全く疲労していない or あまり疲労していない状態で行うことになるため、高重量を扱うことになり、結果として腰への負担が大きくなるからです。

3種目以上は取り入れない(1〜2種目以内に抑える)

ウォーミングアップは別に、1〜2種目以内に抑えるようにしています。

1〜2種目以内に抑えることで、腰への負担を減らすことがるからです。

なお「3種目め以降に取り入れる」「3種目以上は取り入れない」という具体的な数を出していますが、これには特に科学的な根拠はありません。以前「ユニラテラル・エクササイズをガンガン取り入れた結果か、腰を痛めてしまった」というアスリートがいたのですが「3種目め以降に取り入れる。3種目以上は取り入れない」ということを念頭に置き新たなメニューを作成させていただいたところ「腰の痛みがなくなった」という報告を受けたため、このような数に設定しています。

 

まとめ

ユニラテラル・エクササイズは、バイラテラル・エクササイズよりも「片側性筋力を向上させる」「筋力の左右差を整える」というメリットが存在する一方「腰を痛めやすい」というデメリットが存在します。そのため、

・3種目め以降に取り入れる(1〜2種目めには行わない)。
・3種目以上は取り入れない(1〜2種目以内に抑える)。

という原則を持っているわけです。

もっとも、これはあくまでも原則であり「絶対」ではありません。場合によっては、3種目以上取り入れたりする時もあります。

次回の記事は、バイラテラル・エクササイズについて書き綴っていきます。(バイラテラル・エクササイズ(両側性エクササイズ)の取り入れ方)よりお進みください。