筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

出先のホテルや自宅で行えるオススメ自重トレーニングを紹介

競技力向上・ボディメイクどちらの目的であれど、基本的にはバーベルやダンベル・プレートなどの重りを扱いトレーニングを行ってもらいます。

重りを使用することでしっかりとした負荷がかかり、筋力の向上・筋肥大などを効果的かつ効率的に起こすことができるからです。

そのため、何か特別な理由がない限りは、ジムに通っていただくことをオススメしています。

しかし「海外や地方に出張や遠征で出かける」や「仕事と育児に追われている」など、なかなかジムに通えないという場合もあるでしょう。

今回の記事は、そんな方たちにオススメな自重トレーニング、つまり「これといった器具がなくとも、出先のホテルや自宅で簡単に行えるトレーニング」を紹介していきます。

はじめに

詳しくは(筋トレはBIG3+ラットプルダウン+レッグレイズをまず習得する)を見ていただきたいのですが、

競技力向上・ボディメイクどちらの目的であれど、上の5種目はまず間違いなく行ってもらいます。全身を、バランスよく強化することが可能だからです。

そのため、私がオススメする自重トレーニングは、この5種目を代替したものとなります。

・スクワット→リバースランジ
・ルーマニアンデッドリフト→オーバーヘッドグッドモーニング
・ベンチプレス→プッシュアップ
・ラットプルダウン→ドアウェイロウ
・レッグレイズ→レッグレイズ(※レッグレイズに関しては、もともとこれといった器具がなくてもできますので代替しません)

スクワット→リバースランジ

リバースランジは、太もも前面の大腿四頭筋、太もも後面のハムストリングス、お尻の大臀筋など、スクワット同様下半身の筋群を強化することが可能な種目です。

スタートポジション

・目線は正面に向ける。
・脊柱は自然なS字、つまり生理的湾曲をキープする。
・胸を張り肩甲骨を寄せる。
・手は腰に当てる。
・骨盤はニュートラル、もしくはやや前傾をキープする。
・足幅は拳2個分広げる。
・つま先は正面に向ける。

スタート〜フィニッシュ

・息を大きく吸い止める。
・息を止めたと同時に腹直筋・腹斜筋群などお腹周りに力を入れ、上体を一枚の板のように固定する。
・左足を真後ろに引き、つま先で着地する。
・上体を真下に下ろすようなイメージで右股関節を屈曲させる(しゃがむ)。
・右足かかと寄りの荷重を意識すると「上体を真下に下ろすようなイメージで右股関節を屈曲させる(しゃがむ)」が行いやすい。
・左膝が床につくギリギリ手前、もしくは床につくまでしゃがむ。
・しゃがみ切った時、右膝は右つま先よりもやや後方に位置することになる。
・右脚の大腿四頭筋・ハムストリングス・大臀筋を「ググッ」と収縮させる意識をし元の位置に戻る。
・元の位置に戻り切ってから、もしくは元の位置に戻り切る少し手前から息を吐く。
※左右を入れ替え交互に繰り返す。

ルーマニアンデッドリフト→オーベーヘッドグッドモーニング

オーバーヘッドグッドモーニングは、ハムストリングスや大臀筋、腰部の脊柱起立筋といった、ポステリオールチェーン(後面の筋群)を強化することが可能な種目です。

スタートポジション

・両腕は上方に伸ばす。
・目線は正面に向ける。
・脊柱は自然なS字、つまり生理的湾曲をキープする。
・胸を張り肩甲骨を寄せる。
・骨盤はニュートラル、もしくはやや前傾をキープする。
・足幅は肩幅よりもやや狭め、腰幅程度に広げる。
・つま先は正面、もしくはほんの少しだけ外に向ける。

スタート〜フィニッシュ

・息を大きく吸い止める。
・息を止めたと同時に腹直筋・腹斜筋群などお腹周りに力を入れ、上体を一枚の板のように固定する。
・お尻を大きく後ろに突き出し、上体を折りたたむ。
・かかと寄りの荷重を意識すると「お尻を大きく後ろに突き出し、上体を折りたたむ」が行いやすい。
・上体を折りたたむと同時に、ほんの少しだけ膝関節を曲げることになるが「曲げる」ではなく「緩める」という感覚を持つこと。
・生理的湾曲が維持できる一番深いところまで上体を折りたたむ。言い換えるならば、腰が丸まるギリギリのところでストップ。
・上体を折りたたむほど、ハムストリングスにストレッチを感じるようになる。もし、ハムストリングスにストレッチを感じないのであれば、膝関節を曲げすぎている可能性がある。
・ハムストリングス・大臀筋を「ググッ」と収縮させる意識をし上体を戻す。
・上体を戻し切ってから、もしくは上体を戻し切る少し手前から息を吐く。

ベンチプレス→プッシュアップ

プッシュアップは、腕立て伏せのことです。ベンチプレス同様、胸の筋肉である大胸筋、肩の筋肉である三角筋前部、腕の筋肉である上腕三頭筋など、上半身の筋群を強化することができます。

スタートポジション

・手幅は肩幅よりもやや広めに設定する。具体的な数値としては肩峰間隔の150%。
・両腕は横から見たとき地面と垂直になるよう、つまり肩の真下に来るよう設定する。
・目線は真下に向ける。
・脊柱は自然なS字、つまり生理的湾曲をキープする。
・肩甲骨を開く。
・骨盤はニュートラルをキープする。
・足幅は肩幅よりもやや狭め、腰幅程度に広げる。

スタート〜フィニッシュ

・息を大きく吸い止める。
・息を止めたと同時に腹直筋・腹斜筋群などお腹周りに力を入れ、身体を一枚の板のように固定する。
・胸を両腕の間めがけ下ろす。
・胸が床につくギリギリ手前、もしくは床につくまで下ろす。
・胸を下ろすに伴い、鉛筆を挟むように肩甲骨を寄せる。
・大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋を「ググッ」と収縮させる意識をし身体を押し上げる。
・身体を押し上げるに伴い肩甲骨を開く。
・身体を押し上げ切ってから、もしくは身体を押し上げ切る少し手前から息を吐く。

プッシュアップに関しては「肩甲骨を動かすように」と指導する人と「肩甲骨を常に寄せておくように」と指導する人がいるのですが、私は「肩甲骨を動かすように」と指導しています。「身体を押し上げるに伴い肩甲骨を開く」ことで、前鋸筋や小胸筋の強化にもつながるためです。

ラットプルダウン→ドアウェイロウ

ドアウェイロウは、文字通りドア枠を利用する種目です。ドア枠に向けて自身を引き寄せるため、背中の筋肉である広背筋や僧帽筋、腕の筋肉である上腕二頭筋など、上半身の筋群を強化することができます。

上の写真は、ドア枠がかなり厚いため可動域が小さくなっていますが、本来であれば下の写真のような可動域になるはずです。

スタートポジション

・できるだけドア枠に近い位置で直立する。
・胸の高さあたりでドア枠を掴む。
・目線は正面に向ける。
・脊柱は自然なS字、つまり生理的湾曲をキープする。
・胸を張り肩甲骨を寄せる。
・骨盤はニュートラル、もしくはやや前傾をキープする。
・足幅は肩幅よりもやや狭め、腰幅程度に広げる。
・つま先は正面、もしくはほんの少しだけ外に向ける。

スタート〜フィニッシュ

・息を大きく吸い止める。
・息を止めたと同時に腹直筋・腹斜筋群などお腹周りに力を入れ、身体を一枚の板のように固定する。
・身体を後方に倒す。
・肘が伸びきるまで倒す。
・肘が伸びるに伴い肩甲骨を開く。
・広背筋・僧帽筋(特に下部)・上腕二頭筋を「ググッ」と収縮させる意識をし元の位置に戻る。
・元の位置に戻る伴い肩甲骨を寄せていく。
・元の位置に戻り切ってから、もしくは元の位置に戻り切る少し手前から息を吐く。
※左右を入れ替え交互に繰り返す。

レッグレイズ

お腹の筋肉である腹直筋、脇腹の筋肉である外腹斜筋・太もも前面の筋肉である大腿直筋など、主にお腹周りの筋群を強化することが可能な種目です。

スタートポジション

・ソファーや重たいテーブルの脚など、簡単に動かないようなものを両手でしっかりと握る。
・目線はぼんやりと天井に向ける。
・腰と床の間にスペースを作らないよう、骨盤をやや後傾させる(意識をする)。
・この時膝を少し曲げると、腸腰筋の関係上「骨盤をやや後傾させる(意識をする)」が行いやすい。
・両脚はピタリとくっつける。

スタート〜フィニッシュ

・息を大きく吸い止める。
・息を止めたと同時に肩周り・腕周りの筋群に力を入れ、上半身をガシッと固定する。
・足先で大きな弧を描くよう両脚を持ち上げる。
・太ももと床が垂直になるまで両脚を持ち上げる。
・腹直筋・外腹斜筋を「ググッ」と収縮させる意識をし両脚を持ち上げる。
・両脚を戻し切ってから、もしくは両脚を戻し切る少し手前から息を吐く。

なお、呼吸について詳しく知りたい方は(筋トレでの呼吸の仕方 呼吸はするべきか止めるべきか? バルサルバ法について)をご覧ください。

まとめ

リバースランジ・オーバーヘッドグッドモーニング・プッシュアップ・ドアウェイロウ・レッグレイズの5種目を紹介しましたが、自重トレーニングは「場所を選ばない」「ジム代が発生しない」というメリットがある一方で「自重以上の負荷をかけることができない」「細かな負荷調整が困難」「種目が限られる(特に背中)」というデメリットが存在します。

中でも「自重以上の負荷をかけることができない」というデメリットは非常に大きな痛手です。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、高負荷グループと(8〜12%1RM)と低負荷グループ(25〜35%1RM)では「スクワットにおける1RMの増加は、高負荷グループで有意に大きかった」という結論が得られております(筋肥大は同様)。

また、自重では「しっかりと筋肉を追い込んでいく」まで、結構な時間を必要とする場合もあります。

もっとも「自重トレーニングは意味がない」というわけではありません。しかし、それ相応の負荷をかけた方が、筋力の向上・筋肥大などを効果的かつ効率的に起こすことができるため、やはり何か特別な理由がない限りは、ジムに通っていただいた方が良いでしょう。

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