バイラテラル・エクササイズ(両側性エクササイズ)の取り入れ方

 

前回の記事では、ユニラテラル・エクササイズの取り入れ方について記載しました。

・3種目め以降に取り入れる(1〜2種目めには行わない)。
・3種目以上は取り入れない(1〜2種目以内に抑える)。

今回の記事は、前回の記事の補完に加え、バイラテラル・エクササイズの取り入れ方について書き綴っていきます。最初に結論から申しますが、

・メニューの中心(7〜8割)となるよう取り入れる。

という原則を持っています。

前回の記事をお読みでない方は(ユニラテラル・エクササイズ(片側性エクササイズ)の取り入れ方)よりお入りください。今回の記事もアスリート向けの内容です。

バイラテラル・エクササイズとユニラテラル・エクササイズについての確認

トレーニング種目は、バイラテラル・エクササイズ(両側性エクササイズ)と、ユニラテラル・エクササイズ(片側性エクササイズ)に分類することが可能です。

バイラテラル・エクササイズは左右で動作が同じ種目のことで(スクワット)や(デッドリフト)などが該当します。一方、ユニラテラル・エクササイズは左右で動作が違う種目のことで、片脚スクワットや(リバースランジ)などが該当します。

 

バイラテラル・エクササイズのメリットとデメリット

メリットその①両側性機能低下の改善

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・28歳前後の男性が被験者。
・右脚・左脚・両脚での膝伸展筋力を測定。

という実験の結果が以下の通りです。

出典:Matkowski B, et al. Comparison of maximal unilateral versus bilateral voluntary contraction force. Eur J Appl Physiol. 2011 Aug;111(8):1571-8.

左のグラフは右脚+左脚の筋力を、右のグラフは両脚の筋力を表していますが、その大きさは右脚+左脚の筋力>両脚の筋力となっているのがわかります。すなわち「両側同時に筋力を発揮した場合、片側で筋力を発揮した時の左右の合計値よりも小さくなる」という現象が起きているわけです。

もう少しわかりやすくするために具体例を出すと「右脚で50、左脚で50という筋力を発揮できた場合、そのまま普通に考えれば両脚で100の筋力を発揮できるはずだけど、実際は100よりも小さく90程度になってしまう」ということです。

この現象はbilateral deficit(バイラテラル・デフィシット)と呼ばれており、日本語では両側性機能低下、または両側性欠損と訳されます。

両側性機能低下は「大脳半球間抑制」や「意識の分散」に起因すると推測されており個人差があるのですが、バイラテラル・エクササイズで改善されることが確認されています(詳しくはこちらの英語文献を参照)。バイラテラル・エクササイズを行うことで「今までは50+50=90だったけど、50+50=95になった」と考えるとわかりやすいかもしれません。

そのため「バレーのブロックにおける両脚での跳躍」や「サッカーのスローインにおける両腕での投球」など、バイラテラル的な動作が要求されるスポーツにおいては、バイラテラル・エクササイズを取り入れることでさらなる向上が望めるでしょう。

メリットその②腰を痛めにくい

トレーニングでしっかりとした負荷をかけていく場合、バイラテラル・エクササイズは、ユニラテラル・エクササイズよりも高重量を扱うことになります。

そのため「バイラテラル・エクササイズの方が、腰を痛めやすいのではないか?」と考えることができるかもしれません。

しかし、例えば片脚スクワットや片腕ショルダープレスなどのユニラテラル・エクササイズにおいては、バランスを取るため上体を左右どちらかに傾ける必要が出てきます。すなわち、脊柱を横に曲げる必要が出てきます。

そのため「ユニラテラル・エクササイズの方が扱う重量が軽かったとしても、脊柱を横に曲げる必要が出てくるため、脊柱に左右不均一の負荷がかかり、結果として腰を痛めやすいのではないか?」つまり「バイラテラル・エクササイズの方が扱う重量が重かったとしても、結果として腰を痛めにくいのではないか?」と考察しております。

デメリット

バイラテラル・エクササイズのデメリットとしては、ユニラテラル・エクササイズより「片側性筋力の向上が起こりにくい」「筋力の左右差を整えにくい」などが挙げられます。

 

バイラテラル・エクササイズの取り入れ方

バイラテラル・エクササイズのメリットとデメリットを吟味し、以下のような指導をしています。

メニューの中心となるよう取り入れる

まず「バイラテラル・エクササイズを一切取り入れない」ということはしません。「両側性機能低下を改善させる」ほか、ユニラテラル・エクササイズよりも「腰を痛めにくい」というメリットがあるからです。

一方で「バイラテラル・エクササイズしか取り入れない」ということもしません。ユニラテラル・エクササイズよりも「片側性筋力の向上が起こりにくい」「筋力の左右差を整えにくい」というデメリットがあるからです。

では、バイラテラル・エクササイズとユニラテラル・エクササイズを半々(5:5)で取り入れるかというと、そうでもありません。

ユニラテラル・エクササイズには「バイラテラル・エクササイズよりも腰を痛めやすい」というデメリットがあるのですが、私はこれを「なかなか大きなデメリット」と捉えており、ユニラテラル・エクササイズは「3種目め以降に取り入れる(1〜2種目めには行わない)」「3種目以上は取り入れない(1〜2種目以内に抑える)」という原則を持っているため、バイラテラル・エクササイズがメニューの中心(7〜8割)となるようにしています。

 

まとめ

今回の記事ではバイラテラル・エクササイズに、前回の記事ではユニラテラル・エクササイズに焦点を当て書き綴っていきましたが、まとめると以下のようになります。

・バイラテラル・エクササイズは「両側性機能低下を改善させる」ほか、ユニラテラル・エクササイズよりも「腰を痛めにくい」というメリットが存在する一方「片側性筋力の向上が起こりにくい」「筋力の左右差を整えにくい」というデメリットが存在する。「両脚での跳躍」や「両腕での投球」など、バイラテラル的な動作が要求されるスポーツにおいて有効となる。

・ユニラテラル・エクササイズは、バイラテラル・エクササイズよりも「片側性筋力を向上させる」「筋力の左右差を整える」というメリットが存在する一方「腰を痛めやすい」というデメリットが存在する。「片脚での跳躍」や「片腕での投球」など、ユニラテラル的な動作が要求されるスポーツで有効となる。

・バイラテラル・エクササイズはメニューの中心(7〜8割)となるよう取り入れる。
・ユニラテラル・エクササイズは3種目め以降に取り入れる(1〜2種目めには行わない)。
・ユニラテラル・エクササイズは3種目以上は取り入れない(1〜2種目以内に抑える)。

もっとも、これはあくまでも原則であり「絶対」ではありません。場合によっては、ユニラテラル・エクササイズを3種目以上取り入れたりする時もありますし、結果、バイラテラル・エクササイズ:ユニラテラル・エクササイズ=5:5になることもあります(と言っても珍しいですが)。

ちなみに、あくまでも一例ですが、

・1種目め…片脚スクワット(ユニラテラル)
・2種目め…片脚デッドリフト(ユニラテラル)
・3種目め…リバースランジ(ユニラテラル)
・4種目め…ベンチプレス(バイラテラル)
・5種目目…レッグレイズ(バイラテラル)
のようなメニューは原則として指導していません。

・1種目め…スクワット(バイラテラル)
・2種目め…デッドリフト(バイラテラル)
・3種目め…リバースランジ(ユニラテラル)
・4種目め…ベンチプレス(バイラテラル)
・5種目目…レッグレイズ(バイラテラル)
のようなメニューを指導しています。