筋トレ前の準備運動の仕方 Part.1 アクティブウォームアップ

 

トレーニング前に「準備運動」を行うことは、非常に重要とされています。

今回の記事は、タイトルにあるよう「トレーニング前の準備運動の仕方」について書き綴っていきますが、長くなってしまうためシリーズ化し、計4回に分けるつもりです。

そもそも準備運動とは?

まず、準備運動そのものについて確認をしていきますが、これは「スポーツや、何らかの身体活動(トレーニングや仕事など)を実施する前に行う軽度の運動」を指します。文字通り「準備を目的とした運動」だと思っていただければ問題ありません。

おそらく、全ての方が経験していると思うのですが「スポーツ前の軽いランニングやストレッチ」などが、準備運動の代表的な例です。

 

なぜトレーニング前に準備運動を行う必要があるのか?

では、一体なぜトレーニング前に準備運動を行う必要があるのでしょうか?

それは、

・パフォーマンスが向上する。
・傷害を予防する可能性がある。

というデータが存在するためです。

しかし、準備運動にはいわゆる「適切な仕方」があり、ただがむしゃらに身体を動かせば良いというわけではありません。

 

準備運動第1段階:まずは身体を温めよう

トレーニング前の準備運動として、まずは身体を温めることをオススメしています。

論文を見てみる

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・20〜37歳の男女18人が対象。
・右手首の伸展筋力を測定。
・いくつかのパターンを用意。
・右前腕を温水(40℃)に20分間つけたあと測定するパターン。
・すなわち、筋温を上げるパターン(以下HEAT、赤グラフ)。
・右前腕を冷水(10℃)に20分間浸けたあと測定するパターン。
・すなわち、筋温を下げるパターン(以下COLD、青グラフ)。

という実験が行われました。その結果は以下の通りです。

このように、筋力はHEATで有意に大きな値を記録しました。

また、詳しくは(こちらの英語文献)も見ていただきたいのですが、こちらも同様に「筋温が上昇すれば筋力も増加する」というデータが得られています。

発揮される筋力が増加すれば、より大きな重量を扱いトレーニングを行うことができます。つまり、より大きな効果が期待できます。そのため、トレーニング前にはまずは身体を温めることをオススメしているわけです。

しかしながら

「筋温が上昇すれば筋力も増加する」というデータを2つ紹介しましたが、一方で「筋温が正常値より上昇しても、筋力の増加は起こらない」というデータが存在します。

F0:筋力 Tm:筋温

出展:Bishop D, et al. Warm up I: potential mechanisms and the effects of passive warm up on exercise performance. Sports Med. 2003;33(6):439-54.

しかし、私はそれでも、トレーニング前にはまずは身体を温めることをオススメしています。

確かに、筋温が正常値より上昇しても、筋力の増加は起こらないかもしれませんが「筋肉の収縮速度・パワーは増加する」というデータは多数存在するため、クリーンやスナッチといった「爆発的な高速でのエクササイズ」には良い影響が及ぶはずです(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

また、筋温が上昇することで「傷害予防に効果的な生理学的変化がもたらされるであろう」と考察できるデータもあります(詳しくはこちらの日本語文献を参照)。

なお、筋温が上昇することによって「筋肉の収縮速度・パワーは増加する」このような現象が起こる理由としては「エネルギーの代謝回転速度向上」や「活動電位の伝播速度(筋線維伝導速度)向上」などが考えられています(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

身体を温める2つの方法

「トレーニング前にはまず身体を温めることをオススメしている」と記載しましたが、どのようにして身体を温めれば良いのかと申しますと、その方法は大きく2つあります。それが「Passive Warm UP(パッシブウォームアップ)」と「Active Warm UP(アクティブウォームアップ)」です。

パッシブウォームアップは「受動的ウォームアップ」とも呼ばれており「ホットパックをあてがう」「温水シャワーを浴びる」などが該当します。つまり「外的な何かを用いて身体を温める」これが、パッシブウォームアップです。

一方、アクティブウォームアップは「能動的ウォームアップ」とも呼ばれており「ランニング」や「サイクリング」などが該当します。つまり「自ら筋肉を動かし、その際に発生した熱を用いて身体を温める」これが、アクティブウォームアップです。

個人的にはアクティブウォームアップがオススメ

パッシブウォームアップ・アクティブウォームアップともに身体を温めることはできるのですが、では一体どちらの方法を取り入れれば良いのかと申しますと、個人的にはアクティブウォームアップをオススメしています。

パッシブウォームアップの例として「ホットパックをあてがう」を挙げましたが「トレーニング前の準備運動」であることを考慮すると、現実的とは言えないでしょう。

ホットパックは、上のイラストにあるよう「シリカゲルを厚手の袋に詰めたもの」なのですが、これを使用する際には加温機や電子レンジが必要になるためです。

また、パッシブウォームアップの例として「温水シャワーを浴びる」も挙げましたが、こちらも「トレーニング前の準備運動」であることを考慮すると、少し手間です。

「服を脱ぎ→温水シャワーを浴び→身体を拭き→着替える」という一連の流れを「面倒」と感じる場合もあります。

これらの理由から、個人的にはアクティブウォームアップをオススメしているわけです。

さらに、詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、アクティブウォームアップは自ら筋肉を動かすため、パッシブウォームアップよりも「短時間におけるパフォーマンスを、より向上させる傾向がある」とされています。

アクティブウォームアップマニュアル

「個人的にはアクティブウォームアップをオススメしています」と記載しましたが、では一体「種目」「強度」「時間」などはどうすれば良いのでしょうか?

種目

まずは種目についてですが「ランニング」や「サイクリング」など、比較的長時間行える、いわゆる「有酸素運動」を取り入れることをオススメしています。

もっとも、ランニングにおいては、肥満の人にはオススメしていません。(肥満の人が体脂肪の減少目的でランニングを行うのはオススメできない)でも記載したのですが、ランニングによる着地衝撃はなかなかに大きく、疲労骨折・脛骨過労性骨膜炎(シンスプリント)・膝蓋軟骨軟化症・足底筋膜炎・アキレス腱炎などの傷害が発生するリスクが高まるためです。

以前「スクワットを行なっていたら膝を痛めてしまった。フォームを見て欲しい」というお客様(過体重)がいたのですが、彼のスクワットフォームはかなり綺麗で、膝を痛めた原因は違うところにあるなと踏み話を聞いてみると、アクティブウォームアップとしてランニングを取り入れていることがわかりました。その後、ランニングからサイクリングに変えていただいたところ、膝の痛みからおさらばできた、という経験があります。

強度

次は、強度についてですが「最大酸素摂取量の40〜60%」をオススメしています。個人差はあるのですが、心拍数に直すと「だいたい110〜120」と思っていただければ問題ありません。

感覚としては「きつくはない。かといってめちゃくちゃ楽ってわけでもない。まあ、ほどほどかな」くらいです。

なお、強度が高すぎると「アクティブウォームアップそのもので疲労してしまう」ということにもなりかねませんので、注意してください。

時間

最後に、時間についてですが「筋温は3〜5分で急激に上昇し、10〜20分で頭打ちになる」というデータが存在します(詳しくはこちらの英語文献を参照)。そのため「10〜20分」をオススメしています。

感覚としては「体が少しポカポカしてきたな。そして、軽く汗ばんできたな」程度で終了すると、だいたい10〜20分です(私は、お客様対して10分で指導しています)。

ちなみに、ここに記載した「種目」「強度」「時間」は(Warm up II: performance changes following active warm up and how to structure the warm up)を参考にしています。是非一度ご覧ください。

 

最後に

身体を温めること=筋温を上昇させることは、トレーニング前の準備運動として非常に重要です。

しかし「ジムまで20分かけて走って来た」や「ジムまで15分かけて自転車で来た」という場合は、つまり「アクティブウォームアップの代わりになる運動をすでに行なっている」場合は、寒い時期でもない限り、さらにアクティブウォームアップを取り入れる必要性はあまりないように感じます。

これは完全に経験論になるのですが、そういった方に対してはアクティブウォームアップを省略させても、特にパフォーマンスの低下は見られなかったためです。

次回は、準備運動第2段階について書き綴っていきます。ご期待ください。

 

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