トレーニング後(運動後)のストレッチは行う必要があるのか?

 

一般的に、トレーニング後(運動後)にはストレッチを行うことが推奨されています。

ここでのストレッチとは、静的ストレッチ(スタティック・ストレッチとも言います)を指しており、痛気持ちいいところでその姿勢をキープするものです。

今回の記事は、トレーニング後のストレッチについて書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、ボディメイク・競技力向上どちらの目的にしろ、私はトレーニング後にストレッチを指導することは基本的にありません

なぜそのような主張をするのか?

まず、トレーニング後のストレッチが推奨されている理由としては

・疲労の回復が促進される。
・筋肉痛の予防効果がある。

の2点が挙げられます。

私は、小中高と様々なスポーツに打ち込んできましたが、ほとんどのコーチから「最後にはストレッチを取り入れてね〜」と教わりました。

しかし、ストレッチの効果を詳しく調べてみますと、どうもそのようなことはなさそうなのです。

論文を見てみる

詳しくは(こちらの日本語文献)をご覧いただきたいのですが、

・健常成人男性が被験者。
・最大努力でのペダリングを行う。
・運動後、数種類の疲労回復処置を実施。

という研究が行われた結果、

激運動後の筋疲労回復に対してストレッチングは全ての指標において安静臥位とあまり差がなく、効果的でない傾向を示し、運動後の筋疲労の速やかな回復という観点では、一般的に認識されているストレッチングの効果を否定する結果となった。

出典:ストレッチングの筋疲労回復に関する研究

というデータが得られました。

つまり「ストレッチを行っても、疲労の回復が促進されることはどうもなさそう。横になっている状態とほぼ変わらない」ということです。

また、詳しくは(こちらの英語文献)もご覧いただきたいのですが、ここでは運動後、数種類の疲労回復処置を実施し、翌日&翌々日の筋肉痛の度合いを調べています。

その結果「ストレッチを行っても、筋肉痛を予防することはできなかった」というデータが得られました。

Muscle soreness was significantly greater (p<0.01) than baseline on both Sunday and Monday in all conditions, but no differences between the three recoveries and control were evident.

出典:Effects of immediate post-game recovery procedures on muscle soreness, power and flexiblity levels over the next 48 hours.

結論

もっとも、ストレッチエクササイズや強度・持続時間などを変えれば、もしかしたら疲労・筋肉痛に良い影響が確認されるかもしれません。

しかし、このような報告は、ここで紹介した研究以外にも多数確認されているため「トレーニング後にストレッチを指導することは基本的にありません」と記載したわけです。

パーソナルトレーニングは通常、時間で料金が決定されます。私たちトレーナーは限られた時間の中で、より質の高い指導をお客様に提供する必要があります。

疲労・筋肉痛に対して、良い影響があるとは言えないストレッチに時間を割くのであれば

・動画で撮影したフォームをお客様自身でも観てもらい、フォームの確認・訂正作業を行う。
・トレーニング開始段階から、体型や身体能力がどれほど変化したのかを確認・把握してもらう。etc.

といったことに時間を割いた方が有益なのではないか、と思っています。

 

しかし…

「トレーニング後にストレッチを指導することは基本的にありません」と記載しましたが、ここで1つ注意していただきたいのは「基本的に」というだけであり「絶対に指導しない」や「ストレッチを行ってはいけないというわけではないということです。

トレーニングエクササイズに「オーバーヘッドプレス」と呼ばれるものがあります(ショルダープレスとも呼ばれます)。バーベルシャフトを、真上に挙上する種目です。

このオーバーヘッドプレスは、主に肩周りの筋群を鍛えることができるのですが、肩関節の硬い人においては、真上に挙上することが難しい場合があります。

上写真のように、斜め上で腕が止まってしまうのです。

そして、このような人たちに対し「真上」に挙上するよう指示を出すと、下写真のようなフォームになることがあります。

上体を後方に倒すフォームは「適切なフォーム」とは言えません。安定性が低下したり、腰に余計な負荷が生じたりするためです。

もっとも、ラットプルダウンや懸垂など、腕を真上に位置させるエクササイズを行っていれば、それなりに肩関節の可動域も向上するのですが、それだけだとちょっと弱いかな〜、という印象があります。

そんな時は「こういうストレッチエクササイズを、ご自宅で取り入れるようにしてください」と、トレーニング後にストレッチを指導することもあります。

ただ、この目的はあくまでも「適切なフォームを行うために必要な可動域を向上させるため」であり、決して「疲労の回復を促進させるため」や「筋肉痛を予防するため」ではありません。

 

まとめ

・一般的に、トレーニング後(運動後)にはストレッチを行うことが推奨されている。
・「疲労の回復が促進される」「筋肉痛の予防効果がある」とされている。
・しかし、どうもそのようなことはなさそう。
・そのため、トレーニング後にストレッチを指導することは基本的にない。
・しかし「絶対に指導しない」や「ストレッチを行ってはいけない」というわけではない。

 

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