FMSとは?パーソナルトレーニングで取り入れるメリットはあるか?

 

パーソナルトレーニング指導では、通常、初回かつ定期的に何らかの測定を行います。スクワットやベンチプレスの最大挙上重量であったり、腹部や大腿部の周囲径であったり、垂直跳びや立ち幅跳びであったり。

そして、これらの測定には

・今現在の身体能力・体組成等をより厳密に知ることで、効果的なメニューの提供に繋げることができる。
・身体能力・体組成等の変化を数値化しわかりやすくすることで、モチベーションの向上や維持に繋げることができる。

というメリットが存在するため、何か特別な理由がない限りは実施すべきとされています。

では、一体どのような測定を行えば良いのかと言うと、その方の目的や状況によって変わるため一概には言えません。しかし、最近は、FMSを取り入れているトレーナーやジムが多くなってきた印象があります。

今回の記事は、私が思う、パーソナルトレーニングの測定でFMSを取り入れるメリットについて書き綴っていきたいと思いますが、最初に結論から申しますと、もちろんメリットは存在します。

具体的には

採点というゲーム性を取り入れながら、自分の身体の特徴を知ることで、身体を動かす楽しさや重要性を再認識したり、その後のスポーツに役立てたりできる。結果、トレーニングにおけるモチベーションも高まる。

というものです。

しかし、こう言ってはなんですが、個人的にはFMSを取り入れる必要性は低いように感じます。なぜこのような主張をするのか、理由をお話します。

なお、今回の記事は、トレーナー向けの内容です。

FMSとは

まず、FMSそのものを確認していきますが、FMSは「functional movement screen(ファンクショナルムーブメントスクリーン)」の頭文字を取ったもので「身体が機能的に動くかどうかの検査」になります。

イメージとしては、学校や運動施設で行われている、上体起こし・長座体前屈などの体力テストに似たものだと思っていただければ問題ありません。

FMSは「ディープスクワット」「ハードルステップ」「インラインランジ」など7種類のテストから構成されており、採点基準が設けられています。

つまり、それぞれのテストに点数(0〜3点)をつける、ということです。下の動画は、FMSの実施風景を映したものになっています。ぜひ一度ご覧ください。

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また、FMSに興味がある方は「ムーブメント ファンクショナルムーブメントシステム」というタイトルの書籍を購入されることをオススメします。

7,560円と決して安くはないですが、それに見合うだけの情報量は十分にあるはずです。

 

FMSを取り入れるメリットとデメリット

FMSの確認ができたところで本題に入りますが、FMSを取り入れるメリットとしては、先述した通り「採点というゲーム性を取り入れながら、自分の身体の特徴を知ることで、身体を動かす楽しさや重要性を再認識したり、その後のスポーツに役立てたりできる。結果、トレーニングにおけるモチベーションも高まる」が挙げられます。

事実、私がFMSを取り入れていた頃指導したお客様は、皆笑顔でFMSに取り組んでいました。何人かのお客様に直接聞いたところでは、やはり体力テストに参加する機会は全くと言っていいほどないため、楽しかったとのことです。

このような話を聞くと、FMSを測定に取り入れるべきのように感じますが、一方でデメリットも存在します。

デメリットその1 トレーニング指導の時間が短くなる

FMSは、7種類のテストから構成されているため、測定に結構時間がかかります。もちろん、1時間を越すことはありません。テスト自体は、だいたい15分もあれば終了します。

しかし、テストの結果報告や、テスト結果をどのように受け止めどのように生かしていくのか、などの「お話」も含めると、最低でも30分は必要になります。

この30分を長いと取るか短いと取るかは人それぞれでしょうが、私にはちょっと長すぎる気がします。基本的に、パーソナルトレーニングは時間制です。限られた時間の中で、私たちはお客様に対し、効果的なサービスを提供する義務があります。

測定の時間が長いと、トレーニング指導の時間が短くなってしまいます。これは、あまり良いことではないでしょう。

デメリットその2 そこまで難しいテストじゃない(女性)→変化を実感できない場合が多い

FMSでは、動作の巧みさ・筋力・安定性などの身体能力を評価することができるとされているのですが、7種類のテストを見る限り、一番比重が大きいのは柔軟性(≒ 関節可動域)です。

よって、FMSは「身体能力の中でも、主に柔軟性を調べる検査」と言っても過言ではないでしょう。

出典:ムーブメント ファンクショナルムーブメントシステムより引用

FMSには「アクティブ・ストレートレッグレイズ」と呼ばれるテストがあります。仰向けに寝そべり、膝を伸ばした状態で片脚を持ち上げていきます。このテストで評価される身体能力は、ハムストリングスの柔軟性です。挙上脚のくるぶしがバーを越えたら、3点(満点)と評価されます。

そのため、女性においては、多くの方が初回の時点で満点を取ります。そして、先にお話しした通り、FMSは「身体能力の中でも、主に柔軟性を調べる検査」と言っても過言ではないため、これ以外のテストでも多くの方が満点を取ります。

つまるところ何を言いたいのかというと、特に女性の方においては、全体的にそこまで難しいテストではないのです。案外、満点が連発するテストなのです。

ゆえに「前回は〇点だったけど、今回は□点に上がった〜!」みたいな、良い変化を実感できない場合が多くあります。

それなら、例えばボディメイクを目的としている方には、周囲径や皮下脂肪厚を計測したり、全く同じ状況で全身を撮影したりして、ウエスト周り何㎝減りましたねとか、体脂肪率何%落ちましたよとか、ここまで見た目が変わりましたよ、とかを伝えた方がよっぽど良い気がします。

デメリットその3 FMSで知り得る情報はウォームアップやトレーニングで知り得る

アクティブ・ストレートレッグレイズでは、ハムストリングスの柔軟性を評価することができると先述しましたが、何もハムストリングスの柔軟性は、アクティブ・ストレートレッグレイズ以外でも十分にわかります。

前屈やデッドリフトなど、ごくごく一般的なウォームアップやトレーニングを行えば、ハムストリングスの柔軟性は十分にわかります。さらに言ってしまうと、極端な話、シューズの脱ぎ履きの瞬間でもわかる時があります。

つまり、FMSで知り得る情報は、ごく普通にウォームアップやトレーニングを実施しておけば、おおかた知り得てしまうのです。とするのであれば、FMSに時間を割く必要はあるでしょうか?

結論

繰り返しになりますが、FMSにはしっかりとしたメリットが存在します。しかし一方で、見過ごすことのできないデメリットも存在します。

そして、このメリットとデメリットを天秤にかけ熟考した結果、FMSを取り入れる必要性は低いとの結論に達しました。よって、一時期はFMSを測定項目として組み込んでいましたが、今現在は取り入れていません。

 

最後に

2つ注意していただきたいのですが、まず1つめは、FMSに対する見解は個人の意見であり「FMSを取り入れるのは良くない」ですとか「FMSを取り入れているトレーナーやジムはダメ」などと批判しているわけではありません。あくまでも、私にはFMSを取り入れるデメリットの方が大きく感じた、だから取り入れていない、というだけです。

2つめは、今現在FMSを測定に取り入れてはいないものの、測定自体は実施しています(周囲径や皮下脂肪厚の計測など)。しかし、それらの測定は比較的簡易なもので、お話を含めても15分あれば完了するものとなっています。

 

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