体幹トレーニングの嘘と本当③ グローバルマッスル(アウターマッスル)

 

今回の記事は、体幹トレーニングシリーズの第3回目となっています。

(体幹トレーニングの嘘と本当① フィードフォワード機構)
(体幹トレーニングの嘘と本当 ②ローカルマッスル(インナーマッスル))

をご覧になられてない方は、まずこれらをご覧ください。

体幹の安定性を確保する2つの仕組み

体幹の安定性を確保することはスポーツ競技者にとって重要となりますが、そのメカニズムは、

1.ローカルマッスルの収縮による内からの安定性確保。
2.グローバルマッスルの収縮による外からの安定性確保。

の2つに分けることが可能です。

今回の記事は、2つ目「グローバルマッスルの収縮による外からの安定性確保」について触れていきます。

 

グローバルマッスルの収縮による外からの安定性確保

「ローカルマッスルの収縮による内からの安定性確保」は「腹圧を高める」という戦術を用いたのに対し「グローバルマッスルの収縮による外からの安定性確保」は、直接的に体幹に作用する筋肉を収縮させ安定性を高める、という仕組みになっています。

 

グローバルマッスルとは?

ローカルマッスルは、深層に存在し腹圧に関与する筋肉のことを指していましたが、このグローバルマッスルは、表層に存在し直接的に体幹に作用する筋肉のことを指します。

具体的には、腹直筋(Rectus abdominis 赤枠)・外腹斜筋(External oblique 緑枠)・脊柱起立筋(黄丸  腰から首にかけて背中に長く配置されている筋肉)などがこれに該当します。

出典:Williams PL, et al. Gray’s Anatomy, 37th Edition. Churchill Livingstone, Edinburgh. 1989

このグローバルマッスルは「表層筋」や「アウターマッスル」の名称でも呼ばれており、おそらくこちらの単語の方がよく耳にするのではないでしょうか?

ちなみに、体幹の動きには上のイラストにある内腹斜筋(Internal oblique 青枠)も関与してくるのですが、この内腹斜筋は外腹斜筋の深層に位置し、また腹圧にも影響を及ぼすため、グローバルマッスル・ローカルマッスルどちらにも分類することが可能です。

各筋と体幹への作用を表にしましたので、是非覚えてみてください。

筋肉 体幹への作用
腹直筋 屈曲(Flexion)
外腹斜筋 側屈(Side Bending)
回旋(Rotation)
内腹斜筋 側屈(Side Bending)
回旋(Rotation)
脊柱起立筋 伸展(Extension)

屈曲

伸展

回旋

側屈

 

ブレーシングの方がドローインよりも体幹を安定させる

ローカルマッスルである腹横筋を収縮させるエクササイズにドローインがありますが、このドローインと同じく腹部にフォーカスしたエクササイズに「ブレーシング」と呼ばれるものがあります。

腹直筋や腹斜筋群といったお腹周り全体に力を入れるエクササイズで、ドローインのようにお腹を凹ませることはしません。遠くにあるロウソクの火を「フ〜」ではなく「フッ!」とお腹に力を入れ、一瞬で吹き消すあの感じです。

動画1:55〜

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、ドローインとブレーシングの2つのエクササイズが、体幹の安定性にどのような影響を及ぼすかを調べた研究があります。結果は以下の通りです。

出典:Grenier SG, et al. Quantification of lumbar stability by using 2 different abdominal activation strategies. Arch Phys Med Rehabil. 2007;88(1):54-62.

Hollowはドローインを(ドローインはホローイングとも呼ばれます)、Braceはブレーシングを、グラフの高さは安定性の高さを表していますが、体幹の安定性はブレーシングの方が高まることがわかりました。

 

ドローインではなくブレーシングを取り入れるべき

このようなデータがあるため、私はスポーツ競技者にドローインを指導することはありません。トレーニング中・競技中は、ドローインではなくブレーシングを意識し取り組んでもらうことをオススメしています。

そして、ブレーシング力に関係している、腹直筋や腹斜筋群などのグローバルマッスルに焦点を当てたトレーニングを行ってもらうことをオススメしています。

実際に行ってもらえればわかるのですが、どんなに軽い重量だとしても、ドローインを意識しトレーニングをするのとブレーシングを意識しトレーニングをするのでは、圧倒的にブレーシングの方が体幹の安定性が高まる感覚があります

これは私の個人的な意見なのですが「身体の使い方」が上手い人は、無意識にしっかりとしたブレーシングを取り入れている印象もあります。

 

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