筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

筋トレを行う時間帯で効果は変わるか?

皆様は、いつトレーニングを行われていますか?おそらく、お仕事をされている方のほとんどは、夕方に行われているのではないかと思います。

先日、お客様にトレーニングを指導していた時「仕事の関係で、これからは夕方のトレーニングが厳しくなりそう。朝に変更しようと思っているんですが、効果は変わりますか?」とのご質問を受けました。

そのため、今回の記事はそのご質問にお答えしたいと思いますが、最初に結論から申しますと、おそらくトレーニングを行う時間帯で効果は変わります

そして、朝と夕方では、夕方にトレーニングを行われることをオススメしています

論文を見てみる

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・20歳前後の男性10人が対象。
・朝(7:30)と夕方(17:30)に筋力を測定。
・測定項目は握力や膝関節伸展力など。

という実験が行われました。その結果、筋力は夕方で大きくなりました

発揮される筋力が大きくなれば、その分重たい重量でトレーニングを行うことが可能です。つまり、より大きな刺激を筋肉に与えることができると考察できます。

この論文を見る限りでは、夕方にトレーニングを行った方が良さそうです。

もう1つ論文を見てみる

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・トレーニング経験のない平均年齢30代の男性が対象。
・彼らをいくつかのグループに分ける。
・1つは朝(6:30〜10:00)にトレーニングを行うグループ(以下朝グループ)。
・もう1つは夕方(16:30〜20:00)にトレーニングを行うグループ(以下夕方グループ)。
・トレーニング種目はレッグプレスやレッグエクステンションなど。
・トレーニング内容は70〜85%1RMで10〜15レップ、75〜95%1RMで3〜8レップなど週によって変わる。
・週2〜3の頻度で24週間継続。

という実験が行われた結果、

・レッグプレスの1RM:どちらのグループも同様に増加した。
・外側広筋の断面積:トレーニング前半(1〜12週目)においてはどちらのグループも同様に増加したが、トレーニング後半(13〜24週目)においては夕方グループでより増加した

というデータが得られました。

もっとも、レッグプレスの1RMは「どちらのグループも同様に増加した」とはなっていますが、朝グループは14〜19%の増加、夕方グループは18〜24%の増加と、夕方グループの方がやや大きい傾向にあります。

このようなデータがあるため、夕方にトレーニングを行われることをオススメしているわけです。

注意点

「夕方にトレーニングを行われることをオススメしています」と記載しましたが、これは「夕方では」の話です。

先に挙げた2つと類似した実験はいくつか行われているのですが、それらのほぼ全ては朝と夕方の比較であり、例えば「昼」や「深夜」など、そのほかの時間帯について調べた実験は見つかりませんでした。

そのため「トレーニングを行うベストな時間帯」は、残念ながらわかりません。

しかし、個人的には「昼から夕方にかけて」がトレーニングを行うベストな時間帯ではないかと思っています。

なぜそのように思っているのか?

出典:Michiko Yukinaka, et al. Evaluation of autonomic nervous function in patients with essential hypertension complicated with peptic ulcer. Journal of Gastroenterology and Hepatology 15(1):40-4 

上のグラフは、一般的な人における交感神経(白丸)と副交感神経(黒丸)の活動度合いを表したものですが、交感神経は昼から夕方にかけて優位に活動をしているのが確認できます。このグラフを、かなり簡潔化したものが下です。

交感神経と副交感神経は自律神経の1つであり、循環・呼吸・消化・発汗・体温調節・内分泌機能・生殖機能・および代謝など不随意な機能を制御するとされているのですが、その中でも交感神経は筋肉を直接支配し、筋力にも関与するとされています(参考文献)。

「昼から夕方にかけて」がトレーニングを行うベストな時間帯ではないかと思っているわけですが、その理由は、この時間帯に交感神経が優位に活動をするためです。

まとめ

①トレーニングを行う時間帯で効果は変わる(おそらく)。
②「昼から夕方にかけて」がトレーニングを行うベストな時間帯(だと思われる)。

もっとも、このまとめは「朝起き→昼動き→夜眠る」といった「ごくごく普通の人」における話であり、夜勤などを長期的に継続されている「昼夜が逆転されている人」には、②はおそらく当てはまりません。

また、逆転とまではいかなくても「少し特殊なリズムで生活されている人」(昼と夜、1日2回睡眠を取る人など)にも、②はおそらく当てはまりません。

では、そういう人たちにとっての「トレーニングを行うベストな時間帯」はいつかというと「自身が、一番活動的になる時間帯」ではないかと思います。

ただ、最後に1つ注意をしていただきたいのですが「朝のトレーニングは意味がない」などと言っているわけでは全くありません。あくまでも「朝と夕方では、夕方にトレーニングを行われることをオススメしている」というだけです。