筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

【筋トレ】トレーニングで血圧を上昇させる4つの要因について

コロナウイルスが猛威を振るっていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

悲しいことに、死者はもうそろそろ10万人を越えようとしており、いつ自分に、そして自分の大切な方にその魔の手が襲い掛かっても、何も不思議ではないところまで来てしまいました。

今現在私たちにできることは、不要不急の外出を自粛し、目の前の問題に対して冷静に対応することだとは思いますが、これから先どうなるのか全くわからない状態で、ただひたすらに耐え忍ぶというのは、やはりなかなか辛いものがあります。

特に、今までトレーニングを継続されていた方は、ある意味生きがいとも言えるジム活動を停止しているため、ストレスは溜まる一方でしょう。

しかし、現実に起きた物事というのは、捉え方で結構変わるものです。

スポーツで怪我をした時「あ〜最悪。怪我しちゃった。やってらんね〜」と捉えるのか「ああいうプレイをするとこういった怪我に繋がるのか。悲しいけど1つ勉強になったな」と捉えるのか、つまり、ネガティブに捉えるのかポジティブに捉えるのかで、その後の人生が変わります。

この自粛期間を「トレーニングができない最悪の期間」と捉えるか「トレーニング知識を増やす。座学に集中できる期間」と捉えるかは皆様次第です。が、少なくとも私は、後者の方が、今現在もこれからも皆様のためになるのではないかと考えています。

さて、前置きはこの程度にして、今回も筋トレ教則本は皆様にトレーニングの有益な情報を届けていきたいと思います。

ここからが本題。

 

トレーニングでは、血圧が上昇することが確認されています。

過度な血圧の上昇は、血管壁に大きな負担をかけることになり、血管系疾患を発症させるリスクを高めるとされているため、特に高血圧の方においては、トレーニング中、できる限り血圧の上昇を抑制するようなプログラムに取り組むことが推奨されています。

今回は、トレーニングで血圧を上昇させる要因について書き綴っていきますが、基本的には以下の4つが主要なものとなります。

・種目
・強度
・追い込み具合
・呼吸の有無

種目

まず、1つ目は種目です。

詳しくは(Arterial blood pressure response to heavy resistance exercise)をご覧いただきたいのですが、ここでは片腕アームカール・片脚レッグプレス・両脚レッグプレスなど、いくつかの種目における血圧の上昇度合いを調べています。

その結果、血圧は両脚レッグプレス>片脚レッグプレス>片腕アームカール、の順で高くなる傾向がみられました。

トレーニング中の血圧は「より大きく、より多くの筋肉を使う種目ほど上昇する」と捉えることができるでしょう。リストカールとベンチプレスではベンチプレスの方が、カーフレイズとスクワットではスクワットの方が血圧は上昇する、ということです。

強度

2つ目は強度、つまり「扱う重量」が挙げられます。

詳しくは(こちらの日本語文献)をご覧いただきたいのですが、ここでは最大握力の10%・30%・50%の強度で、2分間の持続的な把握動作を行ってもらい、その際の血圧を測定しています。

その結果は以下の通りです。

10% 30% 50%
上の血圧 127.7 ± 13.4 134.8 ± 13.9 157.0 ± 14.7
下の血圧 83.0 ± 9.9 92.2 ± 10.9 112.5 ± 9.5

このように、50%の強度にて、血圧は有意に上昇するとのデータが得られました(10%と30%の強度間に有意差はなし)。

※先行研究では、10〜40%の強度では、筋内圧の上昇が動脈の圧迫を招いたとしても、完全に血流遮断には至らないとの報告があり、おおよそ50%前後の強度から血圧は急上昇するものと考えられています。

しかし、詳しくは(こちらの英語文献)もご覧いただきたいのですが、ここでは4RMと20RMの強度でレッグエクステンションを行ってもらい、4レップ目の血圧を測定しています。おおよそですが、4RMは90%の重さ、20RMは60%の重さ、と捉えて問題ありません。

その結果、どちらの強度も同様に血圧が上昇した、とのデータが得られました。

よって、強度による血圧の上昇は、

こんな感じになるのではないかと思います。

まとめたものが以下です。

・10〜40%の強度では、完全に血流遮断には至らないため、血圧の上昇は穏やか。
・おおよそ50%前後の強度から、血流は完全に遮断されるため、血圧は急上昇する。
・60%〜の強度では、血流は完全に遮断されているため、血圧の上昇は同等。

追い込み具合

3つ目は、追い込み具合です。具体的には、レップ数とセット数が該当します。

詳しくは(こちらの日本語文献)をご覧いただきたいのですが、ここでは80%1RMの負荷で、レッグレイズを10レップ行った際の血圧がどのように変化するのかを調べています。

その結果は以下の通りです。

レップ数 収縮期血圧
1 119.7 ± 42.2
2 122.3 ± 45.0
3 128.5 ± 45.9
4 130.9 ± 47.8
5 133.3 ± 48.4
6 137.1 ± 50.0
7 143.4 ± 51.9
8 147.8 ± 52.5
9 150.7 ± 54.3
10 166.9 ± 32.4

このように、血圧はレップ数を重ねるごとに上昇する傾向がみられました。

また、詳しくは(こちらの英語文献)もご覧いただきたいのですが、ここでは20RMの強度でレッグエクステンションを4セット行っているのですが、1〜3セット間では有意差はないものの、1セット目と4セット目では、4セット目において有意な血圧の上昇が確認されています。

ちなみに、この研究では20RMではなく4RMでもセットごとに血圧を測定しているのですが、4RMでは変化は確認されていません。

呼吸の有無

最後は、呼吸の有無です。

これに関しては、もうすでに常識として知られていると思いますが、トレーニング中の血圧は、呼吸をした時よりも、止めた時でより上昇することが確認されています。

具体的には「〜10%」です。仮に、何らかのエクササイズを「呼吸有り」で実施した際の血圧が150mmhgだったとすると「呼吸無し」では約160mmhgになります(こちらの英語文献を参照)。

なお、トレーニング中、最大でどれほど血圧が上昇するかはわかりませんが、呼吸を止めたレッグプレスでは、平均で320/250mmHgだったとの報告があります。

「そんなに上がって大丈夫なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、脳動脈の内弾性板は、単独で600mmHgに耐える正常脳血管では最強の構造物とのことです(こちらの英語文献を参照)。

まとめ

・より大きく、より多くの筋肉を使う種目ほど血圧は上昇する。
・10〜40%の強度では、完全に血流遮断には至らないため、血圧の上昇は穏やか。
・おおよそ50%前後の強度から、血流は完全に遮断されるため、血圧は急上昇する。
・60%〜の強度では、血流は完全に遮断されているため、血圧の上昇は同等。
・レップ数、セット数を重ねるごとに血圧は上昇する(4RMでは変化なし)。
・呼吸をした時よりも、止めた時で血圧はより上昇する。

以上がまとめになります。

特に高齢者の方に対して指導をする場合は、血圧に注意を払うと思いますので、参考にしていただければと思います。