プロテインは、タンパク質を主成分としたサプリメントのことで、手軽に、そして安価に良質なタンパク質を摂取することができるため、トレーニングをされている方の多くは、プロテインを飲まれているかと思います。
先日、とあるお客様に『知人から「プロテインは牛乳ではなく水で割った方が良いよ。水の方が筋肉がつきやすいし、さらに牛乳は健康に悪い」と言われたのですが本当ですか?』とのご質問を受けました。
今回の記事は、プロテインの割り方について書き綴っていきたいと思いますが、最初に結論から申しますと、水でも牛乳でも、お好きな方で割っていただいて構いません。
「水の方が筋肉がつきやすい。牛乳は健康に悪い」このようなことはまずないと考えています。
水の方が筋肉がつきやすい?
まず、筋肉のつき具合について触れていきますが「水の方が筋肉がつきやすい」と言われている最大の理由は、おそらく消化・吸収の速度でしょう。
先述したとおり、プロテインはタンパク質を主成分としたサプリメントですので、脂質と炭水化物はほとんど含まれていません。そのため、水に溶かせば、そのまま「タンパク質を主成分としたサプリメント」の状態で体内へと入っていきます。
しかし、牛乳に溶かせば、牛乳に含まれている脂質や炭水化物も同時に摂取することになり「タンパク質を主成分としたサプリメント」の状態ではなくなります。
そしてその結果、牛乳に溶かしたプロテインの消化・吸収の速度は遅くなります。
これは「レジと客」をイメージするとわかりやすいかもしれません。客数が少ないと速く客を捌くことができますが、客数が多いと客を捌くスピードは落ちてしまうわけです。
トレーニング後には、筋肉のタンパク質合成作用が少なくとも24時間高まることがわかっているのですが、時間が経つにつれ減少する可能性が示唆されています。
よって、トレーニングの効果を最大限高めたいのであれば、トレーニング後できるだけ早い段階でプロテインを摂取し、迅速に消化・吸収を起こす必要があると考察できます。
「プロテインは牛乳ではなく水で割った方が良いよ」と言われるわけは、このような理由があるためです。
しかし、個人的には、気にするものではないと考えています。
確かに、牛乳に溶かせば消化・吸収の速度は遅くなるでしょう。が、かといって何時間も遅くなるとは考えられません。
また、詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、ここでは、タンパク質をホエイプロテインから摂取するグループと、全て食事から摂取するグループに分け、トレーニングを行い、体組成がどのように変化するのか調べているのですが「どちらも同じ」という結果が得られました。
もし、消化・吸収の速度が大きく影響するのであれば、ホエイプロテインからタンパク質を摂取したグループの方が「効果が大きい」という結果が得られてもおかしくないはずです。
しかし、実際はそうではありません。
このような理由から、私は「仮に水の方が筋肉がつきやすかったとしても、それは本当に微々たるものであり、気にするものではない」と考えているわけです。
牛乳は健康に悪い?
次は、牛乳が健康に及ぼす影響について触れていきますが、調べたところ、確かに牛乳や乳製品を日常的に摂取している人は、そうでない人に比べ、前立腺癌のリスクが高まる、という報告があるみたいです(詳しくはこちらの英語文献を参照)。
しかし一方で、牛乳や乳製品の摂取は、大腸癌のリスクを減らす(こちらの英語文献)、高血圧のリスクを減らす(こちらの英語文献)、骨の成長・糖尿病予防など、あらゆる年齢において健康に有益な効果をもたらす(こちらの英語文献)との報告がいくつも存在します。
そのため、部分的には健康に悪いと言えるかもしれませんが、アレルギーの方や過剰摂取を除き、トータルで見るのであれば、むしろ健康に良いのではないかと私は考えています。
カロリーには注意して
このような背景から、私は「水の方が筋肉がつきやすい。牛乳は健康に悪い」といったことはまずないと考えています。水でも牛乳でも、お好きな方で割っていただいて構わないと考えています。
ただ、ダイエット目的でプロテインを飲まれている方は、牛乳に気をつけましょう。牛乳は200mlあたりで約140kcalほどあり、それを3杯飲むと420kcalで、納豆ご飯やパンケーキに匹敵します。
プロテインを牛乳で割ると、その分食事の量を減らす必要がありますので、特にこだわりがないのであれば、水で飲んだほうが無難かもしれません。