「ダイエットの効果を高めたいのであれば、水を、それも冷たい水をたくさん飲むようにしましょう。そうすることで消費カロリーが増え、体脂肪をより燃やすことができます」というセリフをしばしば聞くことがあります。
今回の記事は「消費カロリーが増え、体脂肪をより燃やすことができます」の真偽について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと「真実」です。全くもって間違いではありません。しかし、注意していただきたい点があります…。
本題に入る前の前提知識
1つめ カロリーとは?
カロリー(cal)とは、エネルギーの単位で「1㎖の水の温度を摂氏1度上げる熱量」のことを指します。日常では、これを1000倍したキロカロリー(Kcal)が使用されます。
つまり「1ℓの水の温度を摂氏1度上げる熱量」が1kcalです。
2つめ ヒトは恒温動物
私たちは、自らの体温を一定に保つ恒温動物です。個人差や状況・環境などによって変動しますが、中心部の体温はおおよそ37.5度とされています。
引用:ヒトの体温調節 森本武利
本題
では、これらを踏まえたうえで本題に入りますが、コップ一杯(200㎖)の冷たい水(5度)を飲んだとしましょう。そうすると、その水に体温が奪われることになります。
もっとも、先述した通りヒトは恒温動物であるため、体温は下がったままではありません。もとの37.5度まで戻ろうとエネルギーが使われます。見方を変えるなれば、水の温度を体温まで上げる必要があるわけです。
計算をすると、
37.5度 − 5度 = 32.5度
32.5度 × 200㎖ = 6500cal
6500cal = 6.5kcal
コップ1杯の冷たい水を飲めば、6.5kcal消費するということになります。
このような理由から「消費カロリーが増え、体脂肪をより燃やすことができます」は「真実」です、と記載したわけです。
体脂肪が劇的に燃えるわけではない
しかし、ここで1つ気をつけていただきたいことがあるのですが、水を飲んだとしても、消費カロリーが劇的に増えるわけではありません。つまり、体脂肪が劇的に燃えるわけではない、ということです。
インターネット上、特にSNSでは「水を1日1ℓプラスして飲むようにしただけで、体脂肪が1ヶ月で3kg落ちましたー」みたいな文章を目にしますが、そんなことはあり得ません。
先ほどの計算式を応用すると、1日あたり22ℓもの水を飲まなくてはならなくなります。まず間違いなく腎臓に負担がかかるでしょうし、水中毒の危険性も出てくるでしょう。
もっとも、だからと言って水を侮るわけではありません。1日1ℓの水を飲むと、32.5kcal消費することになり、それを1年間続ければ、約1.5kgの体脂肪を燃やすことが可能です。
また、詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが「食事の直前に水を飲むことで食事のエネルギー摂取量が減り、体重が落ちやすくなる」というデータも存在します。
最後に
ダイエットを目的としたお客様に対しては、常識の範囲内で積極的に水を飲むよう指導しています。具体的には「少なくとも体重×0.03〜0.04ℓは飲むようにしましょう」と指導しています。
※体重が60kgの方だと、
60×0.03〜0.04=1.8〜2.4ℓになります。
1日あたりで見ると微々たるものかもしれませんが、長い目で見るとそれなりに体脂肪も燃えるからです。
また、詳しくは(こちらの英語文献)もご覧いただきたいのですが、ソフトドリンクを水に変更することで、6ヶ月間で体重が2%減少したという報告もあります。