タンパク質の多量摂取は人体に悪影響を及ぼすのか

 

今よりも筋肉量を増やす、つまり筋肥大や筋力の向上を起こそうとした場合は「筋肉に刺激を与えるトレーニング」と「筋肉の材料となるタンパク質の十分な摂取」を行う必要があります。

トレーニングを行っている人には、1日あたり体重×2gのタンパク質(体重60kgの人では1日あたり120gのタンパク質)を摂取していただくよう指導しているのですが「タンパク質をそんなに摂取しても腎臓などに問題ないのですか?」との質問を受けたことがあります。

確かに、厚生労働省から公表されている(日本人の食事摂取基準)を見てみると、タンパク質の推定平均必要量は成人で1日あたり50g推奨量が60gとなっており、ほぼ倍です。

今回の記事は、タンパク質における多量摂取が人体に及ぼす害について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、1日あたり体重×2g程度であればまず問題はないと思われます。

多量のタンパク質の摂取が人体に及ぼす影響

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・トレーニングを行っている20代の男性が対象。
・2つの期間を用意。
・1日あたり体重×2.6gのタンパク質を摂取する期間。
・1日あたり体重×3.3gのタンパク質を摂取する期間。
・1つの期間は8週間からなり合計16週間。
・16週間におけるタンパク質の摂取量は1日あたり体重×2.9g。
・血液を検査する。

という実験が行われた結果、多量のタンパク質の摂取は血中脂質や腎機能に有害な影響を及ぼさない、というデータが得られました。もっとも、この実験は16週間であるため、さらに長い期間では違った結果になってくるかもしれません。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、この実験では合計1年間にわたる調査が行われております。

・トレーニングを行っている20代の男性が対象。
・2つの期間を用意。
・1日あたり体重×2.5gのタンパク質を摂取する期間。
・1日あたり体重×3.3gのタンパク質を摂取する期間。
・1つの期間は6ヶ月からなり合計1年間。
・血液を検査する。

という実験が行われた結果、多量のタンパク質の摂取は血中脂質や腎機・肝臓の機能に有害な影響を及ぼさない、というデータがこちらでも得られました。どちらの実験も、1日あたり体重×2.5g以上と多量のタンパク質を摂取しているのにです。

 

国際スポーツ栄養学会の見解

国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition)のガイドライン「protin and exercise」には「Protein safety」つまり「タンパク質の安全性」という項目があり「複数のレビュー論文によると、多量のタンパク質の摂取が健康を害するという科学的根拠は存在しない」という一文が掲載されています。

Multiple review articles indicate that no controlled scientific evidence exists indicating that increased intakes of protein pose any health risks in healthy, exercising individuals.

引用:International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

また「1日あたり体重×3gのタンパク質の摂取は、体組成に良い影響を与えるという新たな根拠がある(つまり、除脂肪体重を極力減らさず、脂肪量を減少させる)」という一文も掲載されています。

3)There is novel evidence that suggests higher protein intakes (>3.0 g/kg/d) may have positive effects on body composition in resistance-trained individuals (i.e., promote loss of fat mass).

引用:International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

このような情報があるため「1日あたり体重×2g程度であればまず問題はないのではないか」と私は考察しているわけです。

 

しかしながら

厚生労働省から公表されている(日本人の食事摂取基準 各論 たんぱく質)には「たんぱく質の過剰症は報告されていない」という一文を記載しながらも、

健康な人でも、たんぱく質を過剰に摂取すると、1 週間程度の短期では腎血行動態に変化をもたらして尿中アルブミンが増加するが、中期的には腎機能へ与える影響はほとんどない。たんぱく質が糖尿病腎症のない糖尿病において、腎症発症リスクになるとする明らかな根拠はない。 しかし、日本人を含む調査によれば、たんぱく質の過剰摂取が糖尿病や心血管疾患の発症リスク増加につながる可能性がある

引用:厚生労働省

との説明がされています。そのため、例えば「1日あたり体重×5gのタンパク質」などという、過剰と言わざるを得ないほどの摂取は控えた方が良いでしょう。

また、慢性腎臓病においては、腎臓への負荷を軽減する目的でタンパク質の摂取制限が行われることもあります。そのため、内臓になんらかの疾患を持っている方は注意が必要となるでしょう。

出典:日本腎臓学会編 CKD 診療ガイド 2012

 

まとめ

・多量のタンパク質の摂取が健康を害するという科学的根拠は存在しない。
・1日あたり体重×2g程度のタンパク質であればまず問題はないと思われる。
・「1日あたり体重×5gのタンパク質」などという、過剰と言わざるを得ないほどの摂取は控えた方が良い。
・慢性腎臓病など内臓になんらかの疾患を持っている方は注意が必要となる。

 

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