筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

トレーニングの中断による「落ち」は案外簡単に取り戻せる

2〜3週間前(どれくらいトレーニングを中断すると筋肉は落ちるのか?)という記事を書きました。

その記事のまとめ・結論としては、

・ごくごく通常の生活を送り、栄養をしっかり行っているのであれば、トレーニングを2週間中断したくらいでは筋肉は落ちない。
・筋肉中に含まれているグリコーゲンの貯蔵量が少なくなって、筋肉が落ちたように見えるだけ。
・もちろん、寝たきりの生活や食事を過度に制限している場合では、2週間でも筋肉は落ちる。
・ごくごく通常の生活を送り、栄養をしっかり行っていても、トレーニングを1ヶ月間中断すると筋肉は落ちるかもしれない。
・しかし、そこまで劇的に落ちるわけでは無い。
・ごくごく通常の生活を送り、栄養をしっかり行っていても、トレーニングを2ヶ月間中断すると筋肉はまず落ちるだろう。

となっています。

なかなかに好評ではあったのですが「少し書き足りなかったかな」と思うところがあります。

というのは、ボディメイクを目的とされているお客様から「いくら栄養をしっかり行っていても、トレーニングを1ヶ月間中断すると筋肉が落ちる恐れがあるとのことなので、これからは忙しかろうが辛かろうが、無理にでも時間を作ってトレーニングを休まないようにします!」とのお話をいただいたからです。

今回の記事は、トレーニングの中断による「落ち」と、再開による「伸び」について書き綴っていきますが、トレーニングをある程度の期間中断すると、確かに筋肉は落ちるものの、再開すれば通常以上に伸びる、とのデータがあります。

論文を見てみる

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、ここでは

・25歳前後の健康な男性14人が被験者。
・彼らを2つのグループに分ける。
・1つ目のグループは6週間トレ→3週間トレ中断→6週間トレ→3週間トレ中断→6週間トレ(PTR)。
・2つ目のグループは24週間連続トレ(CTR)。
・各グループの筋断面積の変化を調べる。

という研究が行われました。

その結果は以下の通りです。

出典:Ogasawara R, et al. Comparison of muscle hypertrophy following 6-month of continuous and periodic strength training. Eur J Appl Physiol. 2013 Apr;113(4):975-85.

Aは上腕三頭筋、Bは大胸筋の断面積の変化を表しているのですが、注目すべきは黒丸(PTR)です。トレーニングを中断すれば筋断面積は減少していますが、再開による増加は著しいものがあります

そして、24週目(約6ヶ月目)の筋断面積は、白丸(CTR)と同等なのが見て取れます

まとめ

このように、トレーニングをある程度の期間中断すると(ここでは3週間)、確かに筋肉は落ちるものの、再開すれば通常以上に伸びる、とのデータがありますので、無理にでも時間を作ってトレーニングを休まないようにする必要性は、もちろん状況にもよりますが、個人的には低いと思っています。

もっとも、トレーニングをある程度の期間中断することで、例えば「やる気」など精神面に悪影響が及ぶ、という場合は、無理にでも時間を作ってトレーニングに励む方が良いのかもしれません。

ただ、1つ強調して言いたいのは「ちょっと休んだとしても、すぐ復活するから、そこまで躍起にならなくても大丈夫ですよ」ということです。