筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

筋力向上と筋肥大にはフォーストレップ法が効果的か?

トレーニングには、さらなる筋力向上や筋肥大を狙うための「テクニック」がいくつも存在します。

同一部位に対して4つ以上のエクササイズを連続的に取り入れる「ジャイアントセット法」数十秒の短いインターバルを挟みレップ数を稼ぐ「レストポーズ法」エキセントリック局面重視で高重量を扱う「ネガティブレップ法」などがいい例でしょうか。

そして、これらのテクニックの中でも、トップレベルに有名なものとしては「フォーストレップ法」が挙げられます。

今回の記事は、通常のセット法(ディセンディングセット法)とフォーストレップ法における、筋力向上や筋肥大の効果の違いについて書き綴りますが、最初に結論から申しますと「不明」です。わかりません。

しかし、個人的には「効果に大きな違いはない」と思っています。

フォーストレップ法とは?

フォーストレップ法は「疲労困憊の(これ以上持ち上がらない)状態から、さらに1〜3レップこなす」方法です。基本的には補助者を必要とし、ベンチプレスやショルダープレスなど主に上半身のエクササイズで実施されます。

※もっとも、うまくできるかどうかは別として、ワンハンドで行うダンベルカールなどでは、もう一方の腕で補助すれば補助者はいりませんし、スクワットやレッグプレスといった下半身のエクササイズでも実施することは十分に可能です。

フォーストレップ法は、限界を超えた状態からさらに刺激を加えるため、セット法よりも筋力向上や筋肥大に効果的とされています。

トレーニーの間では半ば常識として知られるテクニックであり、事実私も、このテクニックをふんだんに取り入れていた時期がありました。

通常のセット法との効果の違い

先日、セット法とフォーストレップ法における、筋力向上や筋肥大の効果の違いについて知人に聞かれたため、今回ブログ記事として書き綴ることにしましたが、実は、フォーストレップ法に関した研究はほとんど行われておりません。

全くと言うわけではないのですが(詳しくはこちらの英語文献を参照)、セット法グループ VS フォーストレップ法グループ、という図式ではありません。

しかし、トレーニングに関するこれまでの科学的知見や今までの経験をもとにすれば、ある程度推測することはできます。

筋力向上

まず、筋力は高重量でより向上するというデータがあります(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

つまり、50%1RMと70%1RMでは、70%1RMでトレーニングをした方が筋力向上に効果的だ、ということです。

筋肥大

次は筋肥大に関してですが、筋肉量はボリュームが増えることでより増加するというデータがあります(詳しくはこちらの英語文献こちらの英語文献を参照)。

ちなみに、ボリュームとは「重量×レップ数×セット数」のことです。

考察

では、これらを踏まえたうえで考察していきますが、ベンチプレスでセット法を行うAさんと、フォーストレップ法を行うBさんがいたとしましょう。なお、2人は同一人物だとお考えください。

1セット目は60kgで限界まで行ってもらい、8レップできたとします。この時点では2人とも60kg×8レップ=480kgでボリュームは同等です。しかし、Bさんはフォーストレップ法を実施するため、Aさんよりもボリュームが増えます。

もっとも「潰れてから・・・・・2レップ」ですので、60kgを持ち上げているわけではありません。補助者がいくらかカバーすることになります。

ここでは計算をわかりやすくするため「補助者が5kg分カバーした」つまり「Bさんは55kgで2レップこなした」とします。

Aさんボリューム:480kg
Bさんボリューム:480kg +110kg=590kg

2セット目は55kgで限界まで行ってもらい、Aさんは8レップできたとします。ボリュームは55kg×8レップ=440kgです。しかし、Bさんは先のセットでフォーストレップ法を実施したことにより、疲労がより溜まっていますので、Aさんと同じ8レップは行えません。5レップほどになるはずです。

そして、さらにここから(潰れてから)2レップ行いますが、先ほどと同様「潰れてから・・・・・2レップ」ですので、55kgを持ち上げているわけではありません。「50kgで2レップこなした」が良いところでしょう。

Aさんボリューム:440kg
Bさんボリューム:275kg +100kg=375kg

最後の3セット目は50kgで限界まで行ってもらい、Aさんは8レップできたとします。ボリュームは50kg×8レップ=400kgです。しかし、Bさんは先のセットでフォーストレップ法を実施したことにより、疲労がより溜まっていますので、Aさんと同じ8レップは行えません。5レップほどになるはずです。

そしてそして、さらにここから(潰れてから)2レップ行いますが、今までと同様「潰れてから・・・・・2レップ」ですので、50kgを持ち上げているわけではありません。「45kgで2レップこなした」が良いところでしょう。

Aさんボリューム:400kg
Bさんボリューム:250kg +90kg=340kg

まとめたものが以下です。

このように、セット法でもフォーストレップ法でも、最終的に扱う重量やボリュームはほぼ同等になります。そのため私は、セット法とフォーストレップ法における、筋力向上や筋肥大の効果に大きな違いはない、と思っているのです。

もっとも、ここで紹介した2人の内容は単なる創作ではなく、ある程度実体験に基づいています。

最後に

今回の記事はセット法とフォーストレップ法について書き綴りましたが、最初に記載した通り「効果に大きな違いはない」というのは、あくまでも個人的見解にすぎません。

しかし、トレーニングに関するこれまでの科学的知見や今までの経験をもとにすれば、おおかた同等の効果になるのではないかと思います。