「トレーニングで肩を痛めてしまった」という人は多いのではないでしょうか?事実、私自身も経験がありますし、知人にもちらほら見られます。
今回の記事はそんな人たちに向け「肩に負担をかける(肩を痛めやすい)筋トレ種目」と「肩が痛い時の対処法」について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、
・ハイファイブポジションが要求される種目。
・まずは種目を変更する。
・次は「肩関節外旋筋の強化」と「三角筋後部のストレッチ」を行う。
となっています。
なお、今回の記事は以下の文献を参考にしました。日本語で翻訳もされていますので、是非一度ご覧ください。
(Shoulder injuries attributed to resistance training: a brief review.)
(レジスタンストレーニングに起因する肩の傷害:論文レビュー)
肩に負担をかける(肩を痛めやすい)筋トレ種目
ハイファイブポジションとは?
腕を真横に開き外側にねじった「ハイタッチ」の姿勢は、ハイファイブポジションと呼ばれています。
ハイファイブポジションでのトレーニングは、肩周りの様々な傷害に関与することが確認されており、具体的には肩前部不安定性・肩関節痛・脱臼・大胸筋断裂などが挙げられます。
ハイファイブポジションが要求される種目
ハイファイブポジションが要求される種目はいくつかあるのですが、よく目にするものは、
・ビハインドネックラットプルダウン
・ショルダーバックプレス
の3つです。
<バタフライ>
大胸筋を鍛えるマシントレーニングです。
<ビハインドネックラットプルダウン>
バーが首の後ろを通るラットプルダウンです。
<ショルダーバックプレス>
バーベルが首の後ろを通るショルダープレスです。
肩が痛い時の対処法
まずは種目を変更する
バタフライ・ビハインドネックラットプルダウン・ショルダーバックプレスなど、ハイファイブポジションが要求される種目を取り入れている人は、まずは種目を変更しましょう。
では、具体的にはどのように変更すれば良いのかというと「可動域」や「バリエーション」「種目そのもの」が挙げられます。
<バタフライ>
可動域を変更するといった案が挙げられます。
基本的にバタフライは、上の写真のように、スタートポジションをピンで調節できるようになっています。パッドの位置を前に出すことで、胸をそこまで開かずに済み、ハイファイブポジョンから遠ざかることが可能です。
<ビハインドネックラットプルダウン>
フロントネックラットプルダウンに、つまりバリエーションを変更するといった案が挙げられます。
フロントネックラットプルダウンは、バーを首の前に下ろすため、バーやケーブルの関係上で、胴体を後方へと倒す必要があります。結果、腕の外側へのねじりを回避することができ、ハイファイブポジョンから遠ざかることが可能です。
<ショルダーバックプレス>
(アップライトロウ)に、つまり種目そのものを変更するといった案が挙げられます(詳細はリンク先へどうぞ)。
アップライトロウも、ショルダーバックプレス同様、肩周りに強い刺激が入りますし、バーベルを頭上に挙上することもないため、安全性も高くなるでしょう。
なお、アップライトロウに関しては「肘を肩よりも高く持ち上げると、肩に負担をかける(肩を痛めやすい)」とのデータが存在するため、肘は肩よりもやや下でストップするようにしてください。
もっとも、
・ビハインドネックラットプルダウン:フロントネックラットプルダウン(バリエーションを変更)
・ショルダーバックプレス:アップライトロウ(種目そのものを変更)
という案を挙げましたが、これらはあくまでも一例であり、何もこの通りにする必要は全くありません。
例えばショルダーバックプレスでは、アップライトロウではなく「ショルダーフロントプレス」などでも良いでしょう。
次は「肩関節外旋筋の強化」と「三角筋後部のストレッチ」を行う
これは個人的な経験論ですが、肩が痛い人のほとんどは、ハイファイブポジションが要求される種目を取り入れています。そのため「種目を変更すれば、痛みが消える」という印象があります。
しかし、種目を変更したにも関わらず「痛みが消えない」や「痛みは消えたけど、若干の違和感が残る」そのほか「いや、そもそもハイファイブポジションが要求される種目を取り入れていない」という人がいることも事実です。
そんな時は「肩関節外旋筋の強化」と「三角筋後部のストレッチ」を行ってもらいます。肩が痛い人は、肩周辺の筋力や柔軟性のバランスが悪くなっている場合があるのですが、これら2つを行うことで、そのアンバランスさを解消することが可能だからです。
<肩関節外旋筋の強化種目>
・左側面を下にし横に寝転ぶ。
・左肘をつき頭を固定する。
・右肘を右脇腹に乗せる。
・右肘の角度は90°に設定する。
・弧を描くようにダンベルを持ち上げる。
・10〜15レップ3セット。
(※右肩が痛い場合のパターン)
<三角筋後部のストレッチ種目>
・右側面を下にし横に寝転ぶ。
・左手で右の肘を掴み胸へと近づける。
・三角筋後部(緑矢印)が「痛気持ちい」と感じたところでストップ。
・30秒3セット。
(※右肩が痛い場合のパターン)
まとめ
・ハイファイブポジションが要求される種目でよく目にするものは、バタフライ・ビハインドネックラットプルダウン・ショルダーバックプレスの3つ。
・肩が痛い時はまずはそれらを変更する。
・次は「肩関節外旋筋の強化」と「三角筋後部」のストレッチを行う。
肩の痛みには様々な原因があるため、ここで紹介した内容が有効とは限りません。しかし、トライする価値は十分にあると思いますので、ぜひ実践してみてください。
なお「トレーニングで肩を痛めてしまった」という人は(ベンチプレスを行うと肩が痛くなる人へ 痛みの原因はフォームにあり)も併せてご覧ください。