「とある部位のトレーニングで、その部位の体脂肪を集中的に減少させましょう」という文章を、つまり「部分痩せは可能」と主張しているような文章を見る機会がしばしばあります。
具体的には「腹筋運動でお腹周りの脂肪を撃退」「二の腕体操は振袖肉を落とすのに効果的」などです。
今回の記事は「とある部位のトレーニングで、その部位の体脂肪を集中的に減少させることはできるのか?」つまり「部分痩せは可能か?」について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、まず間違いなく不可能です。
なぜこのような主張をするのか?
片脚だけのトレーニングでは
詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、
・11人の若者にトレーニングを行ってもらう。
・トレーニング種目はレッグプレス。
・両脚ではなく片脚だけトレーニング。
・週3回12週間継続。
・体脂肪量の変化を調べる。
という実験が行われました。その結果は以下の通りです。
・胴体で6.9%減少
・両脚で有意な変化は観察されなかった
片腕だけのトレーニングでは
詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、
・45名の男性と59名の女性にトレーニングを行ってもらう。
・トレーニング種目はアームカールやキックバックなど。
・両腕ではなく片腕だけトレーニング。
・週2回12週間継続。
・筋肉量と体脂肪量の変化を調べる。
という実験が行われました。その結果は以下の通りです。
・トレーニングをした腕は13.4%増加
・トレーニングをしなかった腕は変化なし
体脂肪量
・両腕で有意な差は観察されなかった
ゆえに
先ほど「部分痩せは可能か?」の答えとして「まず間違いなく不可能です」と記載しましたが、その理由は、このようなデータが存在するためです。
部分痩せの定義によっては…
部分痩せを「とある部位のトレーニングで、その部位の体脂肪を集中的に減少させること」と定義し話を進めてきましたが「何らかの手段を用い、その部位の周囲を集中的に減少させること」と定義するのであれば、可能ではあります。
廃用性筋萎縮
筋肉は、負荷が加わることで肥大します。言い換えるならば、負荷が加わる環境に適応し、その結果成長します。よって、負荷が加わらない環境においては、成長することはありません。それどころか、どんどん萎んでいきます。
これは「廃用性筋萎縮」と呼ばれているのですが、骨折をした方によく見られるアレです。
廃用性筋萎縮とは、寝たきりや無重力環境下など筋肉への機械的な負荷の減少が長期にわたり続くことで引き起こされる筋萎縮のことである。
引用:廃用性筋萎縮とアミノ酸
そのため、例えば「ふくらはぎの周囲を集中的に減少させたい」という人がいた場合、ギブス等を足関節や膝関節に巻きつけ完全に固定し、筋肉に負荷が加わらない環境で、腓腹筋やヒラメ筋に廃用性筋萎縮を起こせば、いずれはふくらはぎの周囲を集中的に減少させることができるでしょう。
つまり「その部位の周囲を集中的に減少させる」ことができるでしょう。
ここでは「ふくらはぎ」を例に挙げていますが、もちろん「太もも」「前腕」「上腕」などにも同じことが言えます。
もっとも、現実的かどうか、また健康的かどうかはご想像にお任せします。
まとめ
「とある部位のトレーニングで、その部位の体脂肪を集中的に減少させることはできるのか?」つまり「部分痩せは可能か?」について書き綴りましたが、片脚だけのトレーニングでも、片腕だけのトレーニングでも「両側で有意な変化・差は観察されなかった」というデータが存在するため「まず間違いなく不可能です」が結論となります。
もっとも、部分痩せを「何らかの手段を用い、その部位の周囲を集中的に減少させること」と定義するのであれば、可能ではあります。