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筋トレにおけるタンパク質の摂取頻度・回数・タイミング・1回摂取量

  • 2017年11月13日
  • 2020年2月4日
  • 栄養

筋肉は、常に合成と分解を繰り返しています。筋肉量がある程度一定に保たれているのは、この合成と分解の均衡が取れているからです。

そのため、今よりも筋肉量を増やす、つまり筋肥大や筋力の向上を起こそうとした場合は、合成を分解よりも上回らせなくてはいけません。

そして、これを達成するための要素が「筋肉に刺激を与えるトレーニング」と「筋肉の材料となるタンパク質の十分な摂取」です。

では一体、どれほどタンパク質を摂取すれば良いのかというと「2g/体重/日(1日あたり体重×2g)摂取を心がけてください」と指導しています。

しかし、最大限の効果を求めるのであれば、1日あたりの摂取量以外にも気をつける項目があります。「とりあえず、タンパク質を摂取すればOK」というわけではないのです。

今回の記事は、タンパク質の摂取頻度・摂取回数・押さえておきたい摂取タイミング・1回摂取量などについて書き綴っていきますが、結論から申しますと、

・摂取頻度:3〜4時間おき
・摂取回数:6回前後
・押さえておきたい摂取タイミング:起床直後・就寝直前・トレーニング直後
・1回摂取量:体重×0.25gもしくは20〜40g

となっています。

タンパク質の摂取頻度と摂取回数

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・トレーニング経験のある非喫煙者25歳前後の男性が対象。
・彼らを3つのグループに分ける。
・トレーニング後タンパク質40gを6時間おきに2回摂取するグループ。
・トレーニング後タンパク質20gを3時間おきに4回摂取するグループ。
・トレーニング後タンパク質10gを1時間半おきに8回摂取するグループ。
・トレーニング種目はレッグエクステンション。
・〜80%1RMで10レップ4セット。

という実験が行われました。結果は以下の通りです。

グラフ黒40g/6時間/2回、グラフ灰20g/3時間/4回、グラフ白10g/1時間半/8回

出典:Areta JL, et al. Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis. J Physiol. 2013 May 1; 591(Pt 9): 2319–2331.

上のグラフは、トレーニング終了1〜12時間後における、筋肉のタンパク質合成率を表したものですが、タンパク質20gを3時間おきに4回摂取するグループがもっとも高い値を記録しました。どのグループも、合計80gのタンパク質を摂取しているのにです。

国際スポーツ栄養学会のガイドラインでは「均等に3〜4時間おき」が理想とされています。

6)These protein doses should ideally be evenly distributed, every 3–4 h, across the day.

引用:International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

そのため、タンパク質の摂取頻度について質問を受けた場合は「3〜4時間おき」を心がけてくださいと指導しています。睡眠時間を考慮すると、6回前後に分けてタンパク質を摂取することになります。

しかし、3〜4時間おきの摂取は、正直難しい場合もあるでしょう。仕事を行っている人であればなおさらです。

そのため「3〜4時間おきに摂取できればラッキー」程度に思っておいた方が良いかもしれません。あまり気負い過ぎるとストレスになることもあるでしょうし「3〜4時間おきに摂取しなければ意味がない」というわけでもないからです。

タンパク質の摂取タイミング

その人によって生活リズムには違いがあるため「〇〇時と△△時にタンパク質を摂取するよう心がけてください」のように、具体的な時間を指導することは残念ながらできません。

ただ「ここだけは押さえておいてもらいたい」と思うタンパク質の摂取タイミングがあります。それは「起床直後」「就寝直前」「トレーニング直後」の3つです。

起床直後と就寝直前

理想のタンパク質の摂取頻度は、3〜4時間おきとなっていますが、睡眠中は当然ながらタンパク質を摂取することができません。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが「空腹の状態では、筋肉のタンパク質分解が合成を上回る」というデータがあります。

そのため、起床直後と就寝直前をオススメしているわけです。もっとも「目が覚めてから3分以内に、眠りにつく1分前にタンパク質を摂取してください」いうような、無理難題を押し付けるわけではありません。

極力、スピーディーを心がけていただければ大丈夫です。

トレーニング直後

下のグラフは、トレーニング後における筋肉のタンパク質合成率を表したものですが、トレーニング終了3時間後と24時間後・48時間後では、3時間後>24時間後>48時間後となっているのがわかります。

つまり、トレーニングによる筋肉のタンパク質合成作用の増加は、時間が経つにつれ緩やかに減少していくということです。

出典:Churchward-Venne TA, et al. Nutritional regulation of muscle protein synthesis with resistance exercise: strategies to enhance anabolism. Nutr Metab (Lond). 2012 May 17;9(1):40.

国際スポーツ栄養学会のガイドラインでも、

however, the anabolic effect of exercise is long-lasting(at least 24 h), but likely diminishes with increasing time post-exercise.

引用:International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

「トレーニングによる筋肉のタンパク質合成作用は少なくとも24時間高まるが、時間が経つにつれ減少する可能性がある」

との記載がされております。

また、詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、トレーニング直後にタンパク質を摂取する場合と、少し時間をおいてからタンパク質を摂取する場合では、トレーニング直後にタンパク質を摂取した方が、筋肉のタンパク質合成作用は3倍以上大きかった、というデータもあります。

これらの理由から、トレーニング直後にタンパク質を摂取することをオススメしているわけです。

ゴールデンタイム

上に例を挙げたように、トレーニング終了から30分(もしくは60分)以内は、筋肉のタンパク質合成作用が劇的に高まる「ゴールデンタイム」とされています。しかし一方で、それが確認できなかったというデータも存在します。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・6人の男女が被験者。
・トレーニングを行ってもらう。
・タンパク質が入った飲み物と入っていない飲み物を用意。
・トレーニング終了1時間後と3時間後にそのどちらかを無作為に摂取。

という実験が行われました。その結果がこちらです。

出典:Rasmussen B, et al. An oral essential amino acid-carbohydrate supplement enhances muscle protein anabolism after resistance exercise. J Appl Physiol (1985). 2000 Feb;88(2):386-92.

グラフAは1時間後にタンパク質が入った飲み物を飲んだ場合の、グラフBは3時間後にタンパク質が入った飲み物を飲んだ場合の筋肉のタンパク質合成率を表したものですが、このように、2つの間に差は確認されませんでした

つまるところ、1時間後も3時間後も、筋肉のタンパク質合成率はほぼ同等であるということです。

しかし、私はそれでも、トレーニング直後にタンパク質を摂取することをオススメしています。

「トレーニングによる筋肉のタンパク質合成作用の増加は、時間が経つにつれ緩やかに減少していく」ということはわかっていますし「トレーニング直後にタンパク質を摂取する」という行動は「筋肉のタンパク質合成作用が増加する24時間の間に、しっかりとタンパク質を摂取する」という習慣につながるのではないか、という思いもあるからです。

トレーニングを行う前にタンパク質を摂取することはいけないのか?

「トレーニングを行った後ではなく、トレーニングを行う前にタンパク質を摂取した方が良い、という話を聞いたことがあるのですが、どうなのでしょう……。」という質問を時々受けます。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・20歳前後の男性が対象。
・2つのグループを作る。
・タンパク質をトレーニング直前に摂取するグループ。
・タンパク質をトレーニング直後に摂取するグループ。
・トレーニングを行ってもらう。
・トレーニング内容はスクワットとベンチプレス。
・8〜12レップ3セット。
・週3回10週間継続。

という実験が行われました。その結果、筋肥大や筋力の向上において、どちらのグループも同等の効果が見られたというデータが得られました。

国際スポーツ栄養学会のガイドラインでも「タンパク質を摂取する最適のタイミングは、トレーニングの前か後」という記載があります。

7)The optimal time period during which to ingest protein is likely a matter of individual tolerance, since benefits are derived from pre- or post-workout ingestion;

引用:International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

しかし、トレーニング直前のタンパク質の摂取は「うっぷ…おえ。」となってしまう場合もあるでしょうし、先述したように「トレーニング直後にタンパク質を摂取する」という行動は「筋肉のタンパク質合成作用が増加する24時間の間に、しっかりとタンパク質を摂取する」という習慣につながるのではないか、という思いもあるため、私はトレーニング直後をオススメしています。

ただ、タンパク質の摂取頻度は「3〜4時間おき」が理想です。そのため「これからトレーニングを行うけど、7時間前から何も口にしていないや」という方は、トレーニングを行う直前でもタンパク質を摂取しておいた方が良いかもしれません。

タンパク質の1回摂取量

タンパク質の1回摂取量は20gが上限?

一時期「タンパク質の摂取は一度で20gが上限。それより多く摂取しても意味ない」という情報が出回りました。確かに、そのようなデータは存在します。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、

・トレーニング経験のある20歳前後の男性が対象。
・彼らを4つのグループに分ける。
・タンパクを摂取しないグループ。
・トレーニング後すぐにタンパク質を10g摂取するグループ。
・トレーニング後すぐにタンパク質を20g摂取するグループ。
・トレーニング後すぐにタンパク質を40g摂取するグループ。
・トレーニング種目はレッグプレスとレッグエクステンション。
・80%1RMで10レップ8セット。

という実験が行われました。その結果、筋肉のタンパク質合成は、

・20gを摂取したグループと、40gを摂取したグループで増加。
・20gを摂取したグループと、40gを摂取したグループに差は見られない。

というデータが得られました。

しかし、ここで注意しなければならないのは、彼らが行ったトレーニングは「レッグプレス」と「レッグエクステンション」の2種目であったということです。

そのため、例えばその2種目にプラスし、チェストプレスやラットプルダウンといった上半身を強化するトレーニングも取り入れていたら、また違った結果になっていたかもしれません。

20gよりも40gタンパク質を摂取した方が筋肉のタンパク質合成が増加した

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、この実験では先ほど挙げた実験同様、トレーニング経験のある20歳前後の男性を対象に、異なるタンパク質の摂取量が、筋肉のタンパク質合成にどのような反応を起こすかを調べています。

ちなみに、トレーニング種目はチェストプレス・ラットプルダウン・レッグカール・レッグプレス・レッグエクステンションの5種目、つまり全身を鍛えるものとなっています。その結果は以下の通りです。

出典:Macnaughton LS, et al. The response of muscle protein synthesis following whole-body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein. Physiol Rep. 2016 Aug;4(15).

上のグラフは、筋肉のタンパク質合成率を表したものですが、このように「20gよりも40gタンパク質を摂取した方が、筋肉のタンパク質合成が増加した」というデータが得られました。つまるところ「トレーニングの内容で、効果的なタンパク質の1回摂取量は変化する」ということです。

国際スポーツ栄養学会のガイドラインでは、この1回摂取量についても触れており「体重×0.25gもしくは20〜40g」を推奨しています。

4)Recommendations regarding the optimal protein intake per serving for athletes to maximize MPS are mixed and are dependent upon age and recent resistance exercise stimuli. General recommendations are 0.25 g of a high-quality protein per kg of body weight, or an absolute dose of 20–40 g.

引用:International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

まとめ

・タンパク質は、3〜4時間おき合計6回前後に分けて摂取するのが理想。
・しかし「3〜4時間おき合計6回前後」はあくまでも理想であり、例えば「6時間おき3回は意味がない」というわけではない。
・押さえておきたいタンパク質の摂取タイミングは、起床直後・就寝直前・トレーニング直後の3つ。
・トレーニングによる筋肉のタンパク質合成作用の増加は、少なくとも24時間は続く。
・トレーニングによる筋肉のタンパク質合成作用の増加は、時間が経つにつれ緩やかに減少する。
・推奨されるタンパク質の1回摂取量は、体重×0.25gもしくは20〜40g。

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