学校や運動施設では、運動能力調査・健康増進・親睦交流などを目的として、体力測定が定期的に実施されています。具体的な種目は、立ち幅とび・反復横とび・上体起こし・長座体前屈などです。皆様も、幾度かご経験があることでしょう。
今回の記事は、その体力測定の中でもポピュラーな「握力」について書き綴っていきますが、実は握力は「手首の位置(反り具合)で変わる」というデータが存在します。
では、握力が最も出る手首の位置はどこなのでしょうか?最初に結論から申しますと、それは「軽く手の甲側に反る」です。
握力とは?
まずは、握力そのものについて確認をしていきますが、握力とは「クラッシュ力(=物を握るときの力)」を指します。そしてその強さは、握力計を用いて測定することが可能です。
もっとも、Wikipediaなどで握力を調べてみますと
ピンチ力:物をつまむときの力
ホールド力:握った物を保持する力
このように、クラッシュ力以外にもいくつか種類が出てくるのですが、今回は一般的なクラッシュ力にのみ触れていきます。
握力の確認ができたところで、本題に入っていきましょう。
論文を見てみる
概要
・成人男女22名が被験者。
・手首の位置を13パターン用意。
・利き腕で握力を測定(全員右利き)。
・測定は1パターンごとに日を変える。
という研究が行われました。
なお、各パターンですが、手首を手の甲・手の平・親指・小指側に反り、もしくは反らずを組み合わせたものになっています。「手の甲側に60°・親指側に20°パターン」「手の平側に20°・小指側にも20°パターン」といった具合です。
ちなみに、解剖学では反りの方向に名称がつけられており
・手の甲側:背屈
・手の平側:掌屈
・親指側:橈屈
・小指側:尺屈
と呼ばれています。
結果
男女ともに「背屈20°・橈尺屈0°」のときに握力は最も大きくなりました。つまり、手首を「軽く手の甲側に反る」この位置のときに握力が最も出た、ということです。
他のパターンにおける握力については、下の表をご覧ください。
最後に
「握力を測定する際のコツ」と題して記事を書いてきた私が言うのもなんですが、学校や運動施設などで体力(握力)を測定する際には、文部科学省の実施要項に記載されている「腕を自然に下げ」という方法で臨まれた方がよろしいかと思います。
つまり、ある程度正式な場において体力(握力)を測定する際には、手首をどの方向にも反ることなく、力を抜きだらんと下がった状態で取り組まれることをオススメしているということです。
体力測定は、皆と同じ方法で行うことで、自分の体力レベルをはじめて把握することができます。
確かに、握力は強いに越したことはありません。出来るだけ大きな数値を出したい気持ちもわかります。しかし、手首を「軽く手の甲側に反る」というテクニックを使用してしまうと、皆と違う方法になってしまいます。結果、自分の体力レベルを正確に把握することができません。
そのため、個人的には、友人などと「握力勝負をして負けた方がご飯おごり」的なゲームのときに、このテクニックを使用するのが良いのではないかと思います。決してズルではなく、立派な技術の1つではないでしょうか。