トレーニングに関するメディアの情報においては、しばしば「正しい(=適切な)フォーム」という言葉を見たり聞いたりします。
今回の記事は、この「正しいフォーム」について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、正しいフォームは、目的や状況によって変わります。
トレーニングは手段
まず大前提として、基本的にトレーニングは、
・スポーツ競技力を向上させる
・健康的な身体を作る
などの目的を達成するための「手段」に過ぎません。
筋肉量や筋力を増加させたり、腱や靭帯・骨密度などを高めたりするために有効な「方法」の1つです。
手段は目的や状況によって変わる
先ほど「トレーニングは手段に過ぎない。有効な方法の1つ」と記載しましたが、トレーニングに関わらずそれ以外のジャンルにおいても、どのような手段を用いるべきかは、目的や状況によって変わります。
例えば、冬の札幌で、3泊4日のスキー場巡りをするとしましょう。
とするのであれば、移動手段は車がベターになるでしょう。電車やバスでも可能ですが、荷物の大きさや重さ・待ち時間・移動時間などを考えると少し面倒です。
中には「徒歩」という強者もいるかもしれませんが、3泊4日という日程を考慮すると、とてもとても「スキー場巡り」はできません。移動だけで1日が終わってしまいます。
一方、秋の札幌で、紅葉観賞をするとしましょう。
とするのであれば、徒歩や自転車なんかが良いかもしれません。スキー場によっては、シーズン以外にコースを「観光道路」として開放しているところもありますので、ゆっくり楽しめるかと思います。
ここでは移動を例に挙げましたが、このように、目的や状況が違えば、(移動)手段も変わってくるわけです。
話をトレーニングに戻します。
一般的にスクワットは、下肢の筋群を鍛えることができる非常に優秀なエクササイズとして知られています。スポーツ競技力向上はもちろん、健康促進(メディカル)の分野でも幅広く取り入れられています。
しかし、肉体的に何ら制限のない若年がジャンプ力向上のために行うスクワットと、膝関節を骨折した高齢者が日常生活に復帰するために行うスクワットでは、同じ「スクワット」とは言えど、フォームはガラッと変わってきます。
このような理由から、絶対的に正しいフォームなどは存在しません。なぜなら、目的や状況によって、手段の内容(トレーニングのフォーム)は変わるためです。
臨機応変な目を持とう
先ほど「絶対的に正しいフォームなどは存在しません」と記載しましたが、なぜこのようなことをお話ししたのかというと、去年、一昨年あたりから「これこそが正しいフォーム」と断言的な考えをするトレーニーの方が、ほんの少しですが増えたような印象を抱いたためです。
もちろん「これこそが正しいフォーム」と自分自身で信じる分には全く問題ありませんし、私がとやかくいうことではありません。
しかし「これこそが正しいフォーム」と断言的な考えをしてしまうと、視野が狭くなってしまい、何か有益な情報が入ってきたとしても、それを受け入れるキャパがなくなってしまうのは事実です。
そしてその結果、自らが信じる正しいフォームでトレーニングを継続したことによって、効果的でないばかりか、どこか関節を痛め、トレーニングを休養することになってしまうことも考えれらます。
さらに、その自らが信じるフォームを知人に教えることで、知人の関節を痛めさせてしまうかもしれません。
つまるところ何を言いたいのかというと、
このように、断言的な考えをするのではなく、臨機応変な目を持ちましょう、ということです。
臨機応変な目を持っておけば、最新の有益な情報をすんなり受け入れることができ、効果的で、かつ安全なフォームを取り入れることができます。