筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

筋トレ知識 安定性に関わる要因① 支持基底面の大きさと形状

電車やバスで、吊り手・手すりにつかまらず直立する時、

1.両足をピタリとくっつけ立つ。
2.片足で立つ。
3.両足を肩幅に開き立つ。

上のパターンのうち、どれが一番安定性が高いと思いますか?

支持基底面

直立している状態において「接地している両足とそれらが囲む範囲」は支持基底面(Bace of support)と呼ばれています。

下の写真では、おおよそ緑面で囲まれた部分がそれに該当します。

支持基底面の大きさは安定性に影響を及ぼす

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、この支持基底面の大きさは安定性に影響し、支持基底面が大きくなるほど安定性は高まる、ということがわかっています。

先述した電車とバスの問題に戻りますが、

1.両足をピタリとくっつけ立つ。
2.片足で立つ。
3.両足を肩幅に開き立つ。

の3パターンにおいては、それぞれの支持基底面の大きさから「3→1→2の順で安定性が高い」ということです。

ちなみに、しばしば杖をついて歩く高齢者を見かけますが、杖の役割は支持基底面を大きくすることにあります。足だけでなく、杖をつくことで支持基底面が大きくなって安定性が高まり、転倒を予防することができるわけです。

安定性は支持基底面の形状も考慮する必要がある

安定性は、先述した通り支持基底面の大きさに影響を受けますが、形状にも影響を受けます。

ここに、1辺4㎝の箱Aと、縦8㎝横2㎝の箱Bがあったとしましょう。面積はどちらの箱も16㎠となり、支持基底面の大きさは同じです。しかし、横方向の安定性は箱Aの方が、縦方向の安定性は箱Bの方が高いという特性があります。

つまり、ある方向における安定性は、その方向における支持基底面の長さが関係してくるということです。

上の2枚の写真を例にとると、縦方向の安定性は写真左のスタンスの方が、横の安定性は写真右のスタンスの方が高いと判断できます。

まとめ

安定性に関わる要因

・支持基底面の大きさ(大きくなるほど安定性は高まる)
・支持基底面の形状(長くなるほどその方向における安定性は高まる)

支持基底面という用語を把握せずとも、トレーニングに打ち込むことは十分に可能です。しかし、これらの用語をしっかりと把握しておけば、トレーニングの質をより一層高めることができます。

例えば(リバースランジ)で安定性がうまく確保できない場合、考えられる理由の1つに「横方向の足幅が狭い」といったものが挙げられます。そんな時は「横方向の足幅を広げる」などの応用を効かせることが可能です。

なお、安定性に関わる要因は支持基底面だけではありません。(筋トレ知識 安定性に関わる要因② 重心と重心線)も併せてお読みください。