今回の記事は「トレーニング」というよりかは「健康」色の強い内容となります。もっとも「健康色に強い」とはいえど、トレーニングを行う人(競技力向上・ボディメイクを目的とする人)にとっても覚えておいて損は全くありませんので、最後までお付き合いくだされば幸いです。
メッツ(METs)とは?
メッツとは、身体活動強度を表す単位です。安静時(例:横になって静かにテレビを観る)を「1」とした時、その身体活動が何倍のエネルギーを消費するかを表したものです。
そのため、例えば「アイロン掛け」や「植物への水やり」など、比較的静かな身体活動ではメッツは低くなり、例えば「のこぎりで硬材を切る」や「家財道具を上の階へ運搬する」など、比較的激しい身体活動ではメッツは高くなります。
下の表は、様々な身体活動におけるメッツを表したものです。
なお、メッツの数値についてさらに知りたい方は(国立健康・栄養研究所の身体活動のメッツ(METs)表)をご覧ください。
エクササイズ(EX)とは?
メッツは身体活動強度を表す単位でしたが、エクササイズは身体活動量を表す単位となっています。つまり、メッツに実施時間(時)をかけたものです。
そのため、例えば卓球(メッツ:4.0)を1時間行った場合は 4.0×1 で「4エクササイズ」となり、サッカー(メッツ:10.0)を30分間行った場合は 10.0×0.5 で「5エクササイズ」となります。
厚生労働省では「健康づくりのための身体活動基準 2013」としてエクササイズの目標値を定めており、それが「週に23エクササイズ」です。
日本人を対象とした3論文に限定してメタ解析を行ったところ、日本人の身体活動量の平均は概ね15〜20メッツ・時/週であるが、この身体活動量では生活習慣病等及び生活機能低下のリスク低減の効果を統計学的に確認できなかった。一方、身体活動量が22.5 メッツ・時/週より多い者では、生活習慣病等及び生活機能低下のリスクが有意に低かった。
引用:健康づくりのための身体活動基準 2013
もっとも、この「週に23エクササイズ」というのは「3メッツ以上の身体活動で」という条件があるため、アイロン掛け(1.8メッツ)や植物への水やり(2.5メッツ)は該当しません。
また、23エクササイズのうちの4エクササイズは「生活活動」ではなく「運動」を、つまり「子どもを抱き抱えて移動する:体重6.8kg以上の子ども(3.0メッツ)」や「ガレージの掃除(4.0メッツ)」といった「日常での活動」ではなく「卓球(4.0メッツ)」や「サッカー(10.0メッツ)」といった「体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施する活動」を行うことが推奨されています。
システマティックレビューで採択された35論文について、運動量と生活習慣病等及び生活機能低下のリスク低減との関係をメタ解析した結果によると、少なくとも2.9メッツ・時/週の運動量があれば、ほぼ運動習慣のない集団と比較して、リスクは12%低かった。
引用:健康づくりのための身体活動基準 2013
なお「3メッツ以上の身体活動で週に23エクササイズ」「4エクササイズは生活活動ではなく運動」を取り入れた具体例は以下の通りです。
これで、合計24エクササイズとなります。
このように、ちょこちょこ歩行を取り入れれば、案外簡単に23エクササイズを達成することが可能です。
エネルギー消費量
メッツとエクササイズについて説明をしてきましたが、メッツはあくまでも身体活動強度を表す単位であり、エクササイズはあくまでも身体活動量を表す単位であり、エネルギー消費量は個人の体重によって異なります。
先ほど「3メッツ以上の身体活動で週に23エクササイズ」「4エクササイズは生活活動ではなく運動」を取り入れた具体例として「通勤歩行」「卓球」「トレーニング」の3つの身体活動(合計24エクササイズ)を挙げましたが、体重50kgのAと体重85kgのBでは全く同じライフスタイルを送れど、エネルギー消費量が違ってくるわけです。
では、一体どうすればエネルギー消費量を求めることができるのかというと、
上記の計算式を応用することで、エネルギー消費量を求めることができます。
つまり、体重50kgのAが上記のライフスタイルを送ると、
1.05×24(エクササイズ数)×50(kg)=1260kcal(エネルギー消費量)
となり、
体重85kgのBが上記のライフスタイルを送ると、
1.05×24(エクササイズ数)×85(kg)=2142kcal(エネルギー消費量)
になると考察することが可能です。
まとめ
エクササイズ:身体活動量を表す単位。メッツに実施時間(時)をかけたもの。
エネルギー消費量:1.05×エクササイズ数×体重(kg)。