「レッグカール」と呼ばれるトレーニングマシンがあります。
シーテッドレッグカール
ライイングレッグカール
レッグカールは、文字通り脚を曲げる = 膝関節を屈曲させるエクササイズで、座ったシーテッドにしろ寝たライイングにしろ、太ももの裏にあるハムストリングスを鍛えることが可能です。そして、ハムストリングスを鍛えることは重要です。
ボディメイクを目的としている方では、かっこいい&美しいレッグラインを作ることができますし、また、競技力向上を目的としている方では、ランニング速度を向上させたり、肉離れなどの傷害発生率を減少させるというデータが存在します(こちらの記事を参照)。
今回の記事は、レッグカールにおけるつま先の向きについて書き綴っていきますが、基本的には足関節を背屈、つまり、一番上の動画のサムネイル画像みたいに「足首を反る」よう指導しています。
なぜそのような指導をするのか?
膝関節の屈曲力は足関節を背屈させた状態で大きくなる
詳しくは(こちらの日本語文献)を見ていただきたいのですが、ここでは足関節のポジションが、膝関節の屈曲力にどのような影響を及ぼすかを調べています。
その結果、足関節を背屈させた状態で膝関節の屈曲力は大きくなる = 足首を反った状態で力はより出ることがわかりました。もっとわかりやすく説明するのであれば「レッグカールで、足首を伸ばすと30kgしか持てないけど、反ると35kgは持てる」このようなことが起こるということです。
腓腹筋
では、なぜこのようなことが起こるのかというと、その理由は腓腹筋(ひふくきん)にあります。
文光堂 解剖学アトラスより引用
腓腹筋(上図2)はふくらはぎにある筋肉なのですが「足首を伸ばして爪先立ちになる」ほか、膝関節の屈曲にも関与します。たまに「膝を曲げる時に働く筋肉はハムストリングスです」という言葉を耳にしますが、実はこの腓腹筋も働くのです。
そして腓腹筋は、足関節を背屈させた状態の時に最も膝関節の屈曲に貢献するとされています。
足部が床に固定されていない open kinetic chain において、腓腹筋は2関節筋として膝屈曲の補助筋として動く。一方、足関節を背屈位にすると他動的に腓腹筋が伸張される。筋収縮は一般的に伸張された状態で最も動きやすいとされ、足関節背屈により腓腹筋に適切な伸張が加わったことが膝屈曲時のトルク値が増加した原因と考えられる。
引用:膝関節運動における足関節角度の変化への影響について
少し難しい言葉が出てきていますが「足首を反った状態で膝を曲げると腓腹筋が強く働く。その結果力はより出る」と思ってもらえれば大きな問題はありません。
ハムストリングスだけでなく腓腹筋も鍛えることができる
ここで本題に戻りますが、レッグカールにおいて足首を反るよう指導しているのは、こうすることでハムストリングスだけでなく腓腹筋も鍛えることができるためです。一石二鳥だからです。
もっとも「絶対に足首を反らなきゃダメ」と言っているわけではありません。「レッグカールでは極力ハムストリングスだけを鍛えていきたい。腓腹筋は別のエクササイズで鍛える」など何か理由がある場合は、足首を反る必要は全くないと考えています。
まとめ
・足首を反ることで、ふくらはぎにある腓腹筋も鍛えることができるため。
・もっとも、何か理由がある場合は足首を反る必要は全くない。