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【アスリート】競技力向上 理論編⑤ トレーニングと傷害発生率

前回(【アスリート】競技力向上 理論編④ トレーニングにデメリットはあるのか?)のまとめ

・トレーニングにおけるデメリットとして「かなり危険な運動である」「関節可動域を狭める」の2点が代表的なものとして挙げられているが、そんなことはない。
・トレーニングにおけるデメリットは、特別思い浮かばない。

トレーニングには「傷害発生率を減少させる」という非常に大きなメリットが存在する

トレーニングには「身体能力を効果的に向上させる」というメリットがあり「デメリットは特別思い浮かばない」と前記事で記載しました。

しかし、トレーニングには「身体能力を効果的に向上させる」以外に、実はもう1つ非常に大きなメリットが存在します。それは「傷害発生率を減少させる」です。つまり、トレーニングを行うことで「怪我をしにくい身体を作ることができる」ということです。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、ここではサッカー選手を対象に、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)のトレーニング(レッグカール)が、ハムストリングスの傷害にどう影響するかを調べています。

その結果、トレーニングを行わなかったグループでは、その後の傷害発生数が「10件」だったのに対し、トレーニングを行ったグループは、わずか「3件」だったというデータが得られました。

なお、傷害発生数以外にも「30m走のタイム(ランニングスピード)」の計測をしているのですが、トレーニングを行わなかったグループでは「変化がなかった」のに対して、トレーニングを行ったグループでは「有意な向上が観察された」との報告があります。

また、詳しくは(こちらの英語文献)も見ていただきたいのですが、ここでもサッカー選手を対象に、ハムストリングスのトレーニング(ノルディックハム)が、ハムストリングスの傷害にどう影響するかを調べています(先ほどの研究よりも、対象者数が多くなっています)。

その結果、トレーニングを行わなかったグループでは、その後の傷害発生数が「52件」だったのに対し、トレーニングを行ったグループは、わずか「15件」だったというデータが得られました。

ちなみに、その内訳ですが、

<トレーニングを行わなかったグループ>
新規発生数:32件
再発発生数:20件
<トレーニングを行ったグループ>
新規発生数:12件
再発発生数:3件
<トレーニングを行わなかったグループ>
新規発生率:8.1%
再発発生率:45.8%
<トレーニングを行ったグループ>
新規発生率:3.1%
再発発生率:7.1%

となっています。

もっとも、トレーニングはハムストリングスの傷害だけでなく「膝前部痛(AKP)」にも効果的であることが確認されています(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

このように、トレーニングには「傷害発生率を減少させる」という非常に大きなメリットが存在するわけです。

「傷害発生率を減少させる」ことは、良いことでしょうか?これは、もちろん良いことです。それも、非常に良いことです。

怪我をしてしまうと、当たり前に発揮できていた競技力が低下したり、日常生活にも悪影響が及ぶ場合があります。そのスポーツで生計を立てているプロのアスリートにとっては、怪我の有無は死活問題となり得るでしょう。

こうした理由もあり「アスリートにおいて、トレーニング(筋トレ)を行うことは非常に重要です」と(【アスリート】競技力向上 理論編① アスリートにおいてなぜトレーニングは重要なのか?)で一番初めに触れたわけです。

トレーニングにおけるそのほかのメリット

トレーニングには「身体能力を効果的に向上させる」「傷害発生率を減少させる」以上、2つのメリットがあることがわかりました。

では、これら2つ以外で、トレーニングのメリットは何かあるのかといいますと、直接的ではありませんが「競技力を決定するそのほかの要素(技術・メンタル・戦術など)に好影響を与える」と考察しています。

・トレーニングを行うことによって、身体能力が向上し、競技力も向上した。
・その結果、いつも任されていたポジション以外のポジションも任されるようになった。
・その結果、チームメンバーにおける采配の自由度が増した。
・その結果、戦術の幅が広がった。

といった具合です。

もっとも、ここでは戦術を例に取りましたが、技術やメンタルにも同様のことが起きると考えております。

次回に続く。

まとめ

・トレーニングには「身体能力を効果的に向上させる」のほか「傷害発生率を減少させる」という非常に大きなメリットが存在する。
・また、トレーニングには「競技力を決定するそのほかの要素(技術・メンタル・戦術など)に好影響を与える」というメリットも考えられる。

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