トレーニング種目は、その動作で使う関節の数から「単関節種目」と「多関節種目」に分類することができます。
単関節種目とは「1つの関節を動かすトレーニング種目」のことで、多関節種目とは「2つ以上の関節を動かすトレーニング種目」とのことです。具体例としては、アームカールとラットプルダウンが挙げられます。
アームカール:肘関節を動かす単関節種目
ラットプルダウン:肘関節と肩関節を動かす多関節種目
アームカールなどの単関節種目は1つの関節しか動かさないため、フォームを容易に習得することができます。一方、ラットプルダウンなどの多関節種目は2つ以上の関節を動かすため、フォームの習得が比較的困難です。
こういった背景から、トレーニング未経験者・初心者の方に対して、単関節種目を推奨しているパーソナルトレーナーの方が多く見られるのですが、私はこの指導方法には賛成できません。
今回の記事は、なぜ賛成できないのかを書き綴っていきます。
賛成できない理由
その1 時間効率
まず、単関節種目は1つの関節しか動かさないため、使う筋肉の数が少ないというデメリットがあります。下の表は、代表的な単関節種目と多関節種目で使う筋肉を表したものです。
単関節種目 | 使う筋肉 | 多関節種目 | 使う筋肉 |
レッグエクステンション | 大腿四頭筋 | スクワット | 大腿四頭筋 ハムストリングス 大臀筋 |
アームカール | 上腕二頭筋 | ラットプルダウン | 広背筋 三角筋後部 上腕二頭筋 |
キックバック | 上腕三頭筋 | ベンチプレス | 大胸筋 三角筋前部 上腕三頭筋 |
ダンベルフライ | 大胸筋 三角筋前部 |
例えば、上腕三頭筋と大胸筋を鍛えていこうとした場合、多関節種目ではベンチプレスを行うだけでOKですが、単関節種目ではキックバックとダンベルフライを行わなくてはなりません。時間が倍かかります。
その2 トレーニング効果
巷では「単関節種目の方が、多関節種目より筋力向上・筋肥大に効果的」と言われています。単関節種目は1つの関節しか動かさないため、集中的に筋肉へアプローチをかけることができるためです。
しかし「単関節種目・多関節種目が、筋力向上・筋肥大にどのような影響を及ぼすのか」を調べた学術論文を読んでみますと、
・単関節種目より、多関節種目の方が筋力向上において効果がある。
というデータが得られています(詳しくは単関節種目vs多関節種目 筋力向上・筋肥大に効果的なのはどっち?の記事を参照)。
まとめ
単関節種目は多関節種目より、時間効率という点で劣ります。さらに、トレーニング効果が大きいというわけでもありません。
もっとも、先述した通り、フォーム習得という点においては、確かに単関節種目の方が容易でしょうが「単関節種目を行うことで、多関節種目のフォームを習得しやすくなる」なんてことはありません。そもそも、単関節種目と多関節種目は全くの別物です。
それなら、最初から多関節種目を推奨した方が良いとは思いませんか?
最初から多関節種目に取り組めば、その分早い段階で時間効率の良いメニューを組むことができますし、より大きな筋力向上も望めるからです。