「かっこいい身体」や「モテボディ」には、分厚い胸板・たくましい二の腕のほか、バキバキに割れた腹筋が重要となります。
腹筋を鍛える種目には様々なものがありますが、多くの筋トレ系WEBサイトには、
・お腹の下側(腹直筋下部)には脚を持ち上げる動作
・脇腹(腹斜筋群)には身体をひねる動作
が効果的、つまり大きな刺激を与えることができると書かれています。
しかし、これらは本当なのでしょうか?
結論から申しますが、近年の研究では「これらが当てはまらなかった」というデータが多数存在しています。今回の記事は、ボディメイクを目的とされている方に向けた内容です。
早稲田大学で行われた腹部トレーニングにおける論文を見てみる
腹部トレーニング7種目における腹直筋上部、腹直筋下部、外腹斜筋および大腿直筋の筋電図学的研究
・トレーニング経験のある11名の男子大学生が対象。
・腹部を刺激する種目をいくつか行ってもらう。
・その際の筋活動を測定。
という実験が行われました。種目の名称と詳細は以下の通りです。
1.ロングライイングシットアップ:仰向け、膝を伸ばして上体を起こす。
2.ベントニーシットアップ:仰向け、膝を曲げて上体を起こす。
3.ツイスティングシットアップ:仰向け、膝を曲げて上体をひねりながら起こす。
4.トランクカール:仰向け、膝を曲げてへそを覗き込む。
5.ローマンベンチシットアップ:仰向け、ローマンベンチを使った腰の反りが強いシットアップ。
6.レッグレイズ:仰向け、いわゆる脚上げ腹筋。
7.サポートレッグレイズ:垂直、身体を宙に浮かせた状態での脚上げ腹筋。
結果
各種目における各部位の筋活動を表したものが下の表です。
例えば、ロングライイングシットアップは上体を起こす動作ですが、腹直筋上部はコンセントリック局面で0.499、エキセントリック局面で0.279となっているのに対し、腹直筋下部はコンセントリック局面で0.514、エキセントリック局面で0.321となっています。「腹直筋上部に大きな刺激を与えることができる」とは言えなさそうです。
また、サポートレッグレイズは脚を持ち上げる動作ですが、腹直筋上部はコンセントリック局面で0.808、エキセントリック局面で0.657となっているのに対し、腹直筋下部はコンセントリック局面で0.787、エキセントリック局面で0.600となっています。こちらも「腹直筋下部に大きな刺激を与えることができる」とは言えなさそうです。
さらに、ベントニーシットアップには身体をひねる動作はありませんが、一番高い値を記録したのは外腹斜筋です。
違う論文も見てみる
・23〜43歳の健康な男女が対象。
・腹部を刺激する種目をいくつか行ってもらう。
・その際の筋活動を測定。
という実験が行われました。種目の名称と詳細は以下の通りです。
1.ベントニーシットアップ:仰向け、膝を曲げて上体を起こす。
2.クランチ:仰向け、膝を曲げてへそを覗き込む。
3.ツイスティングクランチ:仰向け、膝を曲げて上体をひねりながら起こす。
4.リバースクランチ:仰向け、膝を曲げて膝を顔へと近づける。
5.インクラインリバースクランチ:傾斜をつけたリバースクランチ。
6.ハンギングニーアップ:垂直、身体を宙に浮かせた状態でのリバースクランチ。
結果
各種目における各部位の筋活動を表したものが下の表です。
例えば、リバースクランチは脚を持ち上げる動作ですが、腹直筋上部は41±20となっているのに対し、腹直筋下部は30±13となっています。「腹直筋下部に大きな刺激を与えることができる」とは言えなさそうです。
また、ベントニーシットアップには身体をひねる動作はありませんが、先に挙げた早稲田大学の実験同様、一番高い値を記録したのは外腹斜筋となっています。
まとめ
確かに、上体を起こす動作であるトランクカールやクランチは腹直筋上部が、身体をひねる動作であるツイスティング系の種目は外腹斜筋が高い値を記録していますが、必ずしも「腹直筋上部には上体を起こす動作が、腹直筋下部には脚を持ち上げる動作が、腹斜筋群には身体をひねる動作が効果的」とは限らないということがわかりました。
私は、腰にかかる負担の関係などから腹筋を鍛える種目として(レッグレイズ)をオススメしていますが、もし様々な種目を取り入れられようとしている方は、ここに紹介したデータを元にメニューを作るのも楽しいかもしれません。