筋力トレーニングの耳寄り情報を発信するブログです。国内外の論文をはじめ、これまでの指導・自身の経験をもとに記事を作成しています。

サッカーで上半身の筋肉を鍛える(筋トレを行う)必要はあるのか?

競技力向上を目的とされている方には「全身を満遍なく強化すること」を原則とし、トレーニング指導にあたっています。

そもそも、スポーツは「どこか1つの関節だけ」ではなく「様々な関節」を動かす、つまり「どこか1つの筋肉だけ」ではなく「様々な筋肉」を使うためです。

出典:Mackenzie S, et al. Evaluation of two methods of the jump float serve in volleyball. J Appl Biomech. 2012 Nov;28(5):579-86. Epub 2012 May 10.

上の画像は「バレーのサーブ」における一連の流れを表したものですが、股関節・膝関節・肩関節・肘関節…etcを大きく動かしているのが見て取れます。

また、詳しくは(こちらの英語文献)も見ていただきたいのですが「ゴルフにおけるボールの飛距離」は「スイングのスピード」と、そして「スイングのスピード」は「下半身・上半身の筋力」と相関関係にあることが確認されています。

先日、ボディメイクを目的とされている方を指導している時に、上記の内容をサラっとお話ししたところ「バレーやゴルフで、上半身の筋肉が重要になるのは経験があるのでわかります。

しかし、サッカーではどうですか?確かに、サッカーには腕を使う場面(スローイン)もあるし、肩や胸・背中といった上半身が相手選手と接触しますけど、でもそれだけじゃないですか?上半身の筋肉を鍛える必要性はあまりないように感じるのですが…」との質問をお受けしました。

そのため、今回の記事は「サッカーで上半身の筋肉を鍛える(筋トレを行う)必要はあるのか?」について書き綴りますが、最初に結論から申しますと、サッカーでも上半身の筋肉を鍛えておくべきです上半身のトレーニングを行うべきです

本題に入る前に

まず、本題に入る前にサッカーに必要な身体能力について確認をしておきます。

ジャンプ力

サッカーでは、高く飛んできたボールに対し、ジャンプをしてヘディングで競り合う瞬間があります(コーナーキックやゴールキックなど)。

ジャンプ力があればその競り合いに勝て、ヘディングシュートをして得点を決めることができたり、相手チームにボールが渡るのを防いだりできるはずです。

一方、ジャンプ力がなければその競り合いに負け、逆にヘディングシュートをされ得点を決められたり、相手チームにボールが渡ってしまうことでしょう。

サッカーでは、このようにジャンプ力が必要になります。

スプリント力(ダッシュ力)

サッカーでは、ドリブルで突破しようとする相手選手を追いかけたり、逆にドリブルで突破しようとして相手選手に追いかけられる瞬間があります。

スプリント力があれば、より早い段階で相手選手に追いつけたり、相手選手を引き離すことができるはずです。

一方、スプリント力がなければ、相手選手に追いつくことができなくそのまま突破されたり、相手選手に追いつかれ突破することはできなくなるでしょう。

サッカーでは、このようにスプリント力が必要になります。

なぜ「サッカーでも上半身の筋肉を鍛えておくべき。上半身のトレーニングを行うべき」と主張するのか?

ジャンプ高を決定する要素に「上半身の筋力」があるから

イメージできると思うのですが、ジャンプ高は「腕の振り」に影響を受けることが分かっております。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、腕を振った場合と振らなかった場合では、ジャンプ高に37.7%もの違いが出ているほどです(腕を振った方が高くジャンプできる)。

また、詳しくは(こちらの英語文献)も見ていただきたいのですが、男性と女性では「男性の方が、腕を振ることによってジャンプ高を有意に増加させる」というデータが得られており、その理由として「男性の方が上半身の筋力が大きいため」と考察されています。

つまり「上半身の筋力を向上させれば、ジャンプ高の増加が期待ができる」ということです。

先ほど、サッカーに必要な身体能力として、ジャンプ力があると記載しました。上半身の筋力を向上させることでジャンプ高の増加が期待できるのであれば、サッカーでも上半身の筋肉を鍛えておくべきでしょう。上半身のトレーニングを行うべきでしょう。

スプリント速度を決定する要素にも「上半身の筋力」がある。

こちらもイメージできると思うのですが、スプリント速度も「腕の振り」に影響を受けることが分かっております。

腕の振りは、揚力全体に5〜10%程貢献し、それによって脚をより前方へと運ぶことができるとされており、実際にベンチプレスとスプリント速度には相関があることも確認されています(詳しくはこちらの英語文献を参照)。

つまり「上半身の筋力を向上させれば、スプリント速度の増加が期待ができる」ということです。

先ほど、サッカーに必要な身体能力として、スプリント力があると記載しました。上半身の筋力を向上させることでスプリント速度の増加が期待できるのであれば、サッカーでも上半身の筋肉を鍛えておくべきでしょう。上半身のトレーニングを行うべきでしょう。

まとめ

・サッカーでは、ジャンプ力・スプリント力が必要になる。
・ジャンプ高・スプリント速度は「腕の振り」に、つまり「上半身の筋力」に影響を受ける。
・上半身の筋力を向上させれば、ジャンプ高・スプリント速度の増加が期待ができる。
・よって、サッカーでも上半身の筋肉を鍛えておくべき。上半身のトレーニングを行うべき。

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