【アスリート】競技力向上 理論編③ トレーニングには「適切なやり方」がある

 

前回(【アスリート】競技力向上 理論編② トレーニングは「身体能力を効果的に向上させる手段」である)のまとめ

・トレーニングは「身体能力を効果的に向上させる手段」であるがゆえ、競技力を向上させたい方には、トレーニングを行うことをオススメする。
・トレーニングの恩恵は、バレー・サッカー・ゴルフ・バスケット・野球など、様々なスポーツで享受することができる。

トレーニングは「がむしゃらに行えば良い」というわけではない

トレーニングは「身体能力を効果的に向上させる手段」であるがゆえ、競技力を向上させたい方には、トレーニングを行うことをオススメしています。

しかし、ここで気をつけていただきたいことがあります。それは、トレーニングはがむしゃらに行えば良いというわけではないということです。つまり、トレーニングにはその人の目的や状況に合った「適切なやり方」があるということになります。

トレーニングを代表するエクササイズに「スクワット」があります。このスクワットは、股関節や膝関節を屈曲・伸展させるため、太ももの前・後ろ、そしてお尻の筋肉に刺激を与えることが可能です。

詳しくは(こちらの日本語文献)を見ていただきたいのですが、ここでは足底の荷重位置を変化させた場合、筋肉の活動にどのような影響が及ぶかを調べています。

その結果、太ももの前の筋肉は後方荷重(かかと寄りの荷重)で、太ももの後ろ・お尻の筋肉は前方荷重(つま先寄りの荷重)で強く働くとのデータが得られました。

また、詳しくは(こちらの英語文献)も見ていただきたいのですが、ここでは扱う重量と回数を変化させた場合、筋力及び筋肥大にどのような影響が及ぶかを調べています。

その結果、筋力においては高重量低回数(90%1RM前後の重量で2〜4回)グループで、筋肥大においては中重量中回数(80%1RM前後の重量で8〜12回)グループでより大きな増加が確認されました。

つまり、同じスクワットであったとしても、荷重位置(フォーム)や、扱う重量や回数(プログラム)等が変化すれば、得られる効果も変わってくるということです。

そのため、トレーニングを行われる場合は、できることであれば専門家(ストレングス&コンディショニングコーチや、トレーニング指導者、という肩書きで活動されている方)に指導を依頼されることをオススメしています。

もっとも「今までのトレーニング経験や感覚から、専門家に指導を依頼しなくてもそれくらいわかるよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、経験や感覚は案外あてにならない時もあります。

例えば、スクワットではスタンスをワイドにする(足幅を広げる)ことで、太もも内側の筋肉の活動が大きくなると言われていますが、スタンスをワイドにしたとしても「太もも内側の筋肉の活動は大きくならなかった」というデータがいくつも存在します(こちらの英語文献こちらの英語文献を参照)。

また、マラソンなど、いわゆる「持久力」が重要になる競技(持久系競技)においては「軽い重量で何十回もひたすら反復するスクワット(具体的には20レップとか30レップとか)」が推奨されることが多々ありますが、むしろ「重い重量で数回(1〜5回)の方が効果的」というデータが存在します(こちらの英語文献を参照)。
→(重い重量を扱うことで筋力がより増加し、動員される運動単位数≒筋線維数が減少し、ランニングエコノミーが向上する)

これ、少し意外な結果ではありませんか?

トレーニングは、確かに「身体能力を効果的に向上させる手段」です。が、この「トレーニングは」の前には「適切な」という言葉がつきます。そのため、トレーニングを行われる場合は、専門家に指導を依頼されることをオススメしているわけです。

もっとも「絶対に指導を依頼してください」や「自分一人で行ってはいけません」などと言っているわけでは全くありません。あくまでも「できることであれば」の話です。

 

トレーニングを行えば「すぐさま競技力が向上する」というわけではない

身体能力は競技力を決定する要素であり、その身体能力はトレーニングを行うことで効果的に向上します。しかし、トレーニングを行い身体能力が向上したとしても、それがすぐさま競技力に結びつくとは限りません

例えば、ここにバレーを行っている方Aさんがいたとします。Aさんは、アウトラインギリギリにスパイクを打つことができます。

そんなAさんがトレーニングを行い「ジャンプ力」を高めたとします。ジャンプ力を高めることは、バレーにとってはもちろん重要なことです。ジャンプ力が高まれば、スパイクの際相手にブロックされにくくなったり、相手のスパイクをしっかりブロックすることができるでしょう。

しかし、今までと同じ打ち方では、まず間違いなくアウトラインを超えてしまいます。なぜなら、打点が高くなることで、ボールの飛距離が伸びるためです。

今度は「腕の振り力」を高めたとします。腕の振り力を高めることは、バレーにとってはもちろん重要なことです。腕の振り力が高まれば、より威力のあるスパイクを打つことができるでしょう。

しかし、今までと同じ打ち方では、まず間違いなくアウトラインを超えてしまいます。なぜなら、威力が増したことで、ボールの飛距離が伸びるためです。

このように、トレーニングを行い身体能力が向上したとしても、それがすぐさま競技力に結びつくとは限らないのです(むしろ、場合によっては一時的ではありますが「競技力が低下した」と感じる場合もあるかもしれません)。

つまり、何を言いたいのかというと、

身体能力の向上→競技力の向上

ではなく、

身体能力の向上→獲得した身体能力をうまく操る技術を習得→競技力の向上

という段階があるということです。

そのため、トレーニングを行い→身体能力が向上し→競技力が向上するまでには、それなりの期間が必要になります。

では、どれくらいの期間が必要になるのかというと、これは一概に「〇〇日です」と断言することはできません。年齢やトレーニング経験の有無・トレーニング頻度・運動センス(運動神経の良さ)などなど、様々な要因が関係してくるためです。

しかし、今までの経験からお話しするのであれば、早い人であれば2〜3ヶ月遅い人でも1年平均すると半年ほどという印象を持っています。

次回に続く。

 

まとめ

・競技力を向上させたい方には、トレーニングを行うことをオススメしているが、気をつけていただきたいことが2つある。
・1つ目は、トレーニングは「がむしゃらに行えば良い」というわけではないということ。
・つまり、トレーニングにはその人の目的や状況に合った「適切なやり方」があるということ。
・そのため、できることであれば専門家(ストレングス&コンディショニングコーチや、トレーニング指導者、という肩書きで活動されている方)に指導を依頼されることをオススメする。
・2つ目は、トレーニングを行い身体能力が向上したとしても、それがすぐさま競技力に結びつくとは限らないということ。
・トレーニングを行い→身体能力が向上し→競技力が向上するまでには、それなりの期間(早い人であれば2〜3ヶ月、遅い人でも1年、平均すると大体半年ほど)が必要になる。

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