遅い挨拶ですが、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
最近、SNSの普及もあってか、トレーニングジムに通う女性が増えてきた印象があります。事実、私の周りでもジムに通っている女性はちらほら居て、その大半がボディメイクを目的としています。
そんな彼女たちに「ボディラインで特に気になる部分は?どんなエクササイズを行っているの?」と質問を投げかけたところ「ヒップラインが気になる。ヒップ周りを鍛えるエクササイズを取り入れている」との答えが返ってきました。
そのため、今回の記事は、ヒップアップに効果的な、それも超オススメのエクササイズを紹介します。
最初にケツ論から申しますと、そのエクササイズとは「股関節を内旋させたルーマニアンデッドリフト片足バージョン」です。
一般的にオススメされている代表的なエクササイズ
まず、ヒップアップにオススメされている代表的なエクササイズとしては(スクワット)(デッドリフト)(ヒップスラスト)などが挙げられます。
ヒップは、大臀筋(下図4)や中臀筋(下図13)から構成されているのですが、それらの筋肉は股関節の伸展作用を持っており、スクワット・デッドリフト・ヒップスラストでは、股関節を伸展させる際に負荷が生じるためです。
文光堂 解剖学アトラスより引用
しかし、これらのエクササイズだけでは「ヒップアップに十分とは言えないかな」と思うことがあります。その理由は以下の通りです。
理由その1 筋活動
スクワットやデッドリフトでは、確かにヒップの筋肉も働きます。しかし、筋活動を調べてみると、メインは大腿四頭筋です(詳しくはこちらの英語文献やこちらの英語文献を参照)。
もっとも「お尻を思い切り後ろに突き出す」ような、股関節に大きな屈曲トルクが生じるフォームでは、それなりにヒップの筋活動も高まるでしょう。しかし、お尻を思い切り後ろに突き出したとしても「ヒップの筋肉がメインで効く」とは正直考えられません。
お尻を思い切り後ろに突き出せば、股関節の伸展作用を持つハムストリングスも強く働くことになります。そして、このハムストリングスは、膝関節の屈曲作用も持っています。つまり、お尻を思い切り後ろに突き出すと、ハムストリングスがより働き、その分を大腿四頭筋がカバーすることになるのです。
スクワットを例に取ると、以下のようにまとめることができます。
・スクワットでお尻を思い切り後ろに突き出すと、ヒップの筋肉だけでなくハムストリングスも強く働く。
・ハムストリングスは、股関節の伸展作用のほか膝関節の屈曲作用も持つ。
・ハムストリングスが強く働くと、膝関節は屈曲方向に作用する。
・スクワットは、膝関節を伸展させなくてはならない。
・膝関節を伸展させる筋肉は、大腿四頭筋。
・ハムストリングスがより働くと、その分膝関節を伸展させる大腿四頭筋もより働くことになる。
また、お尻を思い切り後ろに突き出すということは、安定性・支持基底面の関係から「上体を大きく前傾させる」必要が出てきます。
上体を前傾させると、それに伴い脊柱起立筋(腰の筋肉)も強く働くことになり「ヒップよりも腰が疲れる」という方も出てくることでしょう。
理由その2 可動域
一方、ヒップスラストは股関節のみを動かすエクササイズであるため、確かにヒップの筋肉はかなり強く働きます。スクワット・デッドリフト・ヒップスラストの3種の中では1番のオススメです。
しかし、ヒップスラストは物理的な問題で、可動域を大きく取ることはできません。お尻が、地面とぶつかってしまうのです。足の位置にもよりますが、言い換えると、ヒップの筋肉がストレッチされません。
もっとも、ステップ台などに足を乗せれば、可動域を広げることは可能です。しかし、ステップ台を置いていないジムもありますので、万能とは言えないでしょう。
また、ベンチ台が高いと、特に小柄な女性においては「やりづらい」と聞くこともしばしばあります。
じゃあどうすればいいの?
では、一体どうすれば良いのかというと、ここで登場するのが「股関節を内旋させたルーマニアンデッドリフト片足バージョン」です。
ヒップの筋肉は、股関節の外旋作用を持っています。そのため、股関節を内旋させることでよりストレッチをかけることができるわけです。
また、ルーマニアンデッドリフトでは膝関節をわずかに曲げる(軽く緩める程度)だけですので、スクワットや通常のデッドリフトのように、大腿四頭筋がガッツリ働くことを防ぐことができます。
さらに、これを片足で行うことで扱う重量が下がり、脊柱起立筋への刺激を減らすことも可能です。私は、ルーマニアンデッドリフトでは172.5kgを4〜5発からスタートしているのですが、この股関節を内旋させたルーマニアンデッドリフト片足バージョンでは、40〜50kgもあれば十分なセットを組めます。
さらにさらに、片足で行うことで安定性を確保する必要が生じ、よりヒップに刺激を与えられると考察できるデータもあります(詳しくはこちらの英語文献を参照)。
一度、騙されたと思ってチャレンジしてみてください。このエクササイズは、同業者からも絶賛されます(※フォームが重要になります)。
フォーム概要
フォームの特に重要な部分だけを書き出します。
2.左手はどこか固定されたものを、掴みやすい位置で軽く掴む(個人的には、パワーラックの支柱がよろしいかと思います)。
3.左足に全体重を乗せ、右足はつま先が地面に「ちょん」と接触するくらい。
4.身体を1枚の板のように固定し、股関節を支点に上体を前に倒す。
5.この時、左ヒップをストレッチさせる意識を持つ。
6.ストレッチさせるポイントは「お尻を後方やや左に突き出す」。
7.ダンベルは右手で持つ。
※左右入れ替え
最後に
なお、このエクササイズは、友人でトレーナーでもある塚本氏から原型を教わり、それを独自にアレンジしたものになります。