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支持基底面と重心線 スク膝②

前回の記事(スクワットで「膝をつま先よりも前に出すな」は本当か? スク膝①)では、スクワットにおける膝とつま先の位置について

ボディメイク・競技力向上・健康促進…etc.を目的とする大多数の方においては、安定性・安全性・効果などを踏まえると、膝はつま先のほぼ真上に位置することになる。しかし、状況によってはこの限りではない。

と結論を記載しました。

今回の記事から、なぜこのような結論に達したのか理由を示していこうと思うのですが、本題に入る前に、覚えてもらいたい知識が全部で5つあります。

1.支持基底面と重心線
2.ニーイントゥーアウトと膝の傷害
3.せん断力と膝の傷害
4.可動域と効果
5.脊柱の屈曲と椎間板内圧

まずは「1.支持基底面と重心線」から説明をしていきます。

1.支持基底面と重心線

支持基底面の大きさと安定性

支持基底面は「接地している部分と、それらが囲む範囲」を指します。下の写真は、脚が4本ある椅子を写したものですが、赤枠が支持基底面です。

直立した人間では、以下の青枠が支持基底面に該当します。

そして、支持基底面には「大きくなるほど安定性が高まる」という特性があります。

上の写真Aは蓋が上向きのペットボトルを、Bは蓋が下向きのペットボトルを写したものですが、安定性の高さ(=バランスの良さ)は圧倒的にAの方が上です。なぜなら、Aの方が支持基底面が大きいためです。

支持基底面の形状と安定性

先述した通り、支持基底面の大きさは安定性に関与するわけですが、大きさ以外に形状も安定性に関与することが確認されています。

上の写真は、バインダーの上にiPadケースを置いたものですが、

赤矢印のように、左右(横)に大きく振っても倒れることはありません。しかし、前後(縦)では、下の写真のように少し振っただけで倒れてしまいます。

では、なぜこのようなことが起きたのかというと、これは左右・前後方向における支持基底面の長さが関係しています。

支持基底面には「その方向における長さが長くなるほど安定性は高まり、短くなるほど安定性は低くなる」という特性があるのです。

重心線

質量を持つ物体には、必ず重心が存在します。正確な表現ではありませんが「その物体の真ん中」を重心と捉えてもらえれば大きな問題はないでしょう。下の立方体では、赤丸が重心に該当します。

私たちヒトも質量を持つ物体に変わりないため、当然に重心が存在します。

重心の位置は姿勢によって変化するのですが、手を下ろした直立姿勢ではおへその下あたり(上写真左)、万歳のように手を挙げた姿勢ではおへその上あたり(上写真中)、前屈のように身体を折りたたんだ姿勢では太ももの前へと移動します(上写真右)。

そして「重心から真下に引いた線」は重心線と呼ばれているのですが、安定している状態では、重心線は必ず支持基底面内に存在します

一方、重心線が支持基底面から外れた場合は、下の写真のように倒れてしまいます。

見方を変えるのであれば、下の写真のようによくわからない姿勢であっても、安定している状態では、支持基底面上(赤枠)のどこかに重心が存在していると判断することが可能です。

まとめ

・「接地している部分と、それらが囲む範囲」が支持基底面。
・支持基底面は大きくなるほど安定性が高まる = 小さくなるほど安定性が低くなる。
・その方向における支持基底面の長さが長くなるほど安定性は高まる = 短くなるほど安定性は低くなる。
・「重心から真下に引いた線」が重心線。
・安定している状態では、重心線は必ず支持基底面内に存在している。
・安定している状態では、支持基底面上のどこかに重心が存在している。

なお、支持基底面について詳しく知りたい方は(筋トレ知識 安定性に関わる要因① 支持基底面の大きさと形状)を、重心線について詳しく知りたい方は(筋トレ知識 安定性に関わる要因② 重心と重心線)をご覧ください。

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