【アスリート必読】競技力向上とトレーニング(筋トレ) 実践編⑥ セット間休憩時間とトレーニング時間の調整

 

前回(【アスリート必読】競技力向上とトレーニング(筋トレ) 実践編⑤ セット数と頻度)のまとめ

・セット数は、エクササイズの種類を問わず3〜5セット。
・頻度も、エクササイズの種類を問わず週2〜3回。

今回の記事は「セット間休憩時間」と「トレーニング時間の調整」について書き綴っていきますが、最初に結論から申しますと、セット間休憩時間に関しては、

基本的には3分。しかし、状況に応じては若干前後しても良い

一方、トレーニング時間の調整に関しては、

基本的にはセット数で。しかし、状況に応じてはエクササイズ数やセット間休憩時間でも可。

という指標を設けています。

セット間休憩時間について

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただきたいのですが、ここではトレーニング未経験者を対象に、1分のセット間休憩時間を取ってトレーニングを行うグループと、2分半のセット間休憩時間を取ってトレーニングを行うグループにおける筋力・筋断面積の変化率を調べています。

その結果「筋力の増加においては有意差は確認されなかったが、筋断面積の増加においては有意差が確認された。2分半グループの方がより大きかった」というデータが得られました。詳細は以下の通りです。

ベンチプレスの5RM
1分:10.5±3.98%増加
2分半:14.9±8.73%増加
スクワットの5RM
1分:24.0±12.19%増加
2分半:27.4±11.74%増加
腕の筋断面積
1分:5.1±2.9%増加
2分半:12.3±7.2%増加

また、詳しくは(こちらの英語文献)も見ていただきたいのですが、ここではトレーニング経験者を対象に、1分のセット間休憩時間を取ってトレーニングを行うグループと、3分のセット間休憩時間を取ってトレーニングを行うグループにおける筋力・筋断面積の変化率を調べています。

その結果「筋力・筋断面積において、3分グループの方がより大きな増加が確認された」というデータが得られました。詳細は以下の通りです。

ベンチプレスの1RM
1分:4.1%増加
3分:12.7%増加
スクワットの1RM
1分:7.6%増加
3分:15.2%増加
上腕三頭筋の筋断面積
1分:0.5%増加
3分:7.0%増加

では、なぜこのようなデータが得られたのかというと、それは「セット間休憩時間を長く取ったことによって疲労が回復し、高重量を扱うことが可能となり、結果ボリュームが増えたから」だと考察されています。

このブログでも度々説明していますが、そもそもアスリートがトレーニングを行う理由は、競技力を決定する要素の1つに身体能力があり、身体能力はトレーニングを行うことで効果的に向上するためです。

よって、アスリートのトレーニングにおけるセット間休憩時間は、2分半や3分のように比較的長め、言い換えるのであれば「疲労をある程度回復させることができる時間」に設定することが望ましいでしょう。

もっとも、ここでは筋力・筋断面積についてしか触れていませんが、RFD(≒筋の収縮速度)においては「高重量でのトレーニングが効果的」というデータが存在していますので、そのような点からも、アスリートのトレーニングにおけるセット間休憩時間は「疲労をある程度回復させることができる時間」に設定するべきと言えます(詳しくはこちらの記事を参照)。

 

具体的なセット間休憩時間

では、最適なセット間休憩時間はどれほどなのかと言いますと、これは残念ながらわかりません。

「2分と3分と4分では効果がどう変わるか?」や「3分と5分と7分では効果がどう変わるか?」のような研究は行われていないためです(少なくとも私が知る限り)。

しかし「疲労をある程度回復させることができる時間」を考慮するのであれば、個人的な経験論になりますが「最低でも3分は取っておいた方が良い」と思っています。なぜなら「3分取ればある程度疲労は回復する」という印象があるからです。

簡素で申し訳ありませんが、下のグラフのようなイメージです。

もっとも、4分・5分・6分…と増やしていけば疲労はさらに回復するでしょうが、そこまで大きく変わるものではなく(個人的な経験論です)、また「集中力が切れてしまう」や「通っているトレーニングジムでは、パワーラックの使用に30分の時間制限が定められている」といったことも考えられますので「基本的には3分」という指標を設けています。

ただ、1つ注意していただきたいことがあるのですが、これはあくまでも指標であり「絶対」ではありません。

「3分では全然疲労が回復しない」という方であれば3分半・4分…に「3分も取れば疲労は十二分に回復する」という方であれば2分半・2分…でもよろしいかと思います。つまり「状況に応じては若干前後しても良い」ということです。

 

トレーニング時間の調整について

トレーニングを行う場合は、当然ですが時間を確保しなければなりません。しっかりと効果を出そうとするのであれば、それ相応の時間が必要になります。

例えばですが、

エクササイズ:基本5種(スクワット・ルーマニアンデッドリフト・ベンチプレス・ラットプルダウン・レッグレイズ)
回数:4回
セット数:4セット
セット間休憩時間:3分

というメニューを実施するとしましょう。なお、1回あたりの往復時間は5秒だとします。

そうすると、

スクワット1セット目:20秒
セット間休憩:3分
スクワット2セット目;20秒
セット間休憩:3分
スクワット3セット目:20秒
セット間休憩:3分
スクワット4セット目:20秒
セット(種目)間休憩:3分
ルーマニアンデッドリフト1セット目:20秒

レッグレイズ4セット目:20秒

となり、約1時間の時間が必要になります(厳密には3820秒=1時間3分40秒)。

もっとも、この数値には準備運動・トレーニング機器のセッティング・着替え・ジムへの移動時間等は含まれていませんので、これらも考慮するとおおよそ2時間はかかることでしょう。

しかし、常に毎回2時間のトレーニング時間を確保することは、現実問題厳しい時もあるはずです。では、トレーニング時間をしっかりと確保できない場合、一体何を削れば良いのでしょう?どのようにして、トレーニング時間を調整すれば良いのでしょうか?

候補その1 エクササイズ数

まず、候補としてパッと浮かぶのが「エクササイズ数を減らす」というものです。つまり、スクワット・ルーマニアンデッドリフト・ベンチプレス・ラットプルダウン・レッグレイズ、などが具体例として挙げられます。

確かに、こうすればかなりの時間を削ることが可能です。しかし「エクササイズ数を減らす」という案は、正直そこまでオススメできるものではありません。

では、なぜこのような主張をするのかというと、それは「筋肉痛」が理由として挙げられます。

トレーニングを行うと、厳密には筋肉に大きな刺激を加えると、筋肉痛が発生します。筋肉痛については、いずれこのブログでも詳しく取り上げる予定ですので今回は詳しく言及しませんが、筋肉痛の程度は「刺激の大きさ」のほか「刺激が加わる頻度」にも影響を受けます。つまり「久しぶりのトレーニング」になればなるほど、筋肉痛は強く現れるのです。おそらく、皆様もご経験があるのではないでしょうか?

もっとも、筋肉痛は至って正常な生体反応であり、発生すること自体は何の問題もありません。

しかし、アスリートにおいて筋肉痛が発生することは、あまり良いことではないでしょう。筋肉痛の程度にもよりますが、その痛みゆえ競技練習に悪影響を及ぼす場合があるからです。

つまり、何を言いたいのかというと「エクササイズ数を減らす」という案は→久しぶりのトレーニングとなり→筋肉痛が強く発生し→競技練習に悪影響を及ぼす可能性がある、ということになります。

このような理由から「正直そこまでオススメできるものではありません」と記載したわけです。

もっとも「毎週、月・水・金曜日とコンスタントにトレーニングを行っているが、来週の水曜日だけはトレーニング時間をしっかりと確保できない。来週の水曜日だけエクササイズ数を減らそう」といった具合に限定されているのであれば、大きな問題はないでしょう。

候補その2 回数

次に候補として浮かぶのが「回数を減らす」というものです。しかし、この案は採用できません。

例えば、1セットあたり「30〜50回」など、かなりの高回数でトレーニングを行っているのであれば可能ですが、そもそも私が指標としている回数は「3〜5回」です。もともと低回数なのです。

もっとも、一般的エクササイズにおいては「8〜12回」行う時もありますが、あくまでも「行う時もある」というだけに過ぎません。

このような理由から「この案は採用できません」と記載したわけです。

候補その3 セット間休憩時間

次に候補として浮かぶのが「セット間休憩時間を減らす」というものです。セット間休憩時間は「基本的には3分」と指導しているため、2分半→2分→1分半…と減らせば、かなりの時間を削ることが可能となります。

しかし「セット間休憩時間を減らす」という案も、正直そこまでオススメできるものではありません。

では、なぜこのような主張をするのかというと、それは「RFD」が代表的な理由として挙げられます。

セット間休憩時間を減らすということは、疲労の回復が乏しくなり、高重量でのトレーニングを行うことができない、につながります。つまり、中重量(場合によっては低重量)でのトレーニングになってしまうわけです。

詳しくは(こちらの英語文献)を見ていただいきたいのですが、RFDは高重量でのトレーニングで向上が確認されているものの、セット間休憩時間を1分にした中重量でのトレーニングでは、向上が確認されていません。

このような理由から「正直そこまでオススメできるものではありません」と記載したわけです。また、特にトレーニング初心者にとっては、疲労がほとんど回復しないうちに次のセットへ移行するため、バーン(筋肉が燃えるような痛み)の影響で、フォームに悪影響が出ることも考えられます。

もっとも「毎週、月・水・金曜日とコンスタントにトレーニングを行っているが、来週の水曜日だけはトレーニング時間をしっかりと確保できない。来週の水曜日だけセット間休憩時間を減らそう」といった具合に限定されているのであれば、大きな問題はないでしょう。

候補その4 セット数

次に候補として浮かぶのが「セット数を減らす」というものです。そして、私はこの案をオススメしています。

では、なぜこのような主張をするのかというと、今までの候補たち「エクササイズ数を減らす」「回数を減らす」「セット間休憩時間を減らす」はトレーニング効果の「」を変えましたが「セット数を減らす」という案は、トレーニング効果の「程度」を変えるに過ぎないためです。

「1セットのトレーニングを行うグループと、3セットのトレーニングを行うグループでは、筋力の増加においては1セットの方が大きかったが、筋断面積の増加においては3セットの方が大きかった」というようなデータは存在しないのです。

また、セット数を減らすという案は、相応に時間を削ることも可能です。先ほど挙げた例を使用しますが、4セットではなく3セットに減らした場合、約15分の時間を削ることができます(厳密には1000秒=16分40秒)。

このような理由から「この案をオススメしています」と記載したわけです。

次回に続く。

 

まとめ

・セット間休憩時間は、基本的には3分。しかし、状況に応じては若干前後しても良い。
・トレーニング時間の調整は、基本的にはセット数で。しかし、状況に応じてはエクササイズ数やセット間休憩時間でも可。

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